そこで、職場復帰のプログラムの一環として「職場に特性を伝える」ことを目標に見据えました。
自分の特性を知ることが
職場からの理解にもつながる
最初に、ミキさんに行ってもらったのは「三分割ノート」です。
ノートを三分割にして「強み」「苦手」「配慮があればできること」を、それぞれ書くスペースを作ります。そして、それぞれのスペースに書き込んでいきます。
これはやってみるとわかりますが、文字にするだけで、思考の整理がされます。
ミキさんが書いた「三分割ノート」はこちらです。
・強み「資料作成の正確さ、顧客データの迅速整理」
・苦手「人混み、ガヤガヤした環境、会議の要点をつかむこと」
・配慮があればできること「電話対応(ヘッドセットがあれば)」
そしていよいよ、職場復帰の日を迎えます。
上司に15分だけ時間をもらい、「仕事をより正確に進めるために、ご相談があります」と切り出し、ノートを手に次の提案をしました。
「電話対応時に、ヘッドセットの使用を許可してください」
「会議後に3行で要点メモを共有いただけると、ミスを防げます」
「昼休みを10分ずらし、静かなスペースで休憩すると、午後の集中力が上がります」
ミキさんの上司は紙面を読んでうなずき、「なるほど、これならチームの効率も上がりそうだね」と言ってくれました。
復職以前に悩んでいた上司や同僚との関係は、3つのことを整理し、自分の特性を伝えられたおかげで、上手くいくようになってきました。
『ポストが怖くて開けられない!発達障害の人のための「先延ばし」解決ブック』(柏本知成、サンマーク出版)
ヘッドセットの導入で、電話応対の誤入力もほぼゼロになりました。
会議後の要点メモは、チーム全体の習慣となり、他のメンバーから「自分も助かる」と感謝されたほどでした。
午後の作業スピードは、以前の1.3倍にもなりました。
何より、休職期間明けのミキさんは、表情がやわらかくなっていました。
自分の障害特性を周囲に伝えることは、勇気がいることです。
もしいま、「伝えても、何も変わらないかも」と足がすくんでいるなら、まずはノートを三分割して、「強み」「苦手」「配慮があればできること」の3つを書いてください。
この小さなチャレンジが、自分を守り、周囲を動かす第一歩になります。







