会議が多すぎて仕事が進まない――そんな悩みを抱える人は多い。
だが、会議を「減らす」だけでチームの生産性が劇的に上がるとしたらどうだろう。『ワークハック大全』は、Googleやtwitter(現x)で働いた著者が、科学的エビデンスに基づき「仕事を楽しく効率的にする30の方法」を紹介する一冊だ。本記事では、世界18ヶ国で刊行された本書の「学習メソッド」から、「会議時間を半分に減らす方法」を紹介していく。
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なぜ会議は「減らす」ほど生産的になるのか
会議は「働いている感」を演出する最も便利な手段だ。
しかし、多くの会議は実際のところ、時間を浪費している。
本書では、PayPalの元COOデヴィッド・サックスが「不要な会議を次々と中断した」逸話が紹介されている。
彼は社員700人規模のオフィスを歩き回り、3~4人以上の会議はすべて疑ってかかったという。
3、4人以上での会議はどれも疑わしいと見なされ、非効率的だと判断されれば、直ちに延期に追い込まれた。(『ワークハック大全』より)
サックスが見抜いていたのは、会議が「問題解決の場」ではなく、「自己アピールの場」になっているという構造だ。
人は会議の中で、自分の意見を通したり、存在感を示したりすることに時間を使いがちだ。その結果、肝心の議題が進まない。
会議の数を減らすことは、単なる時短ではなく「思考の質を取り戻す行為」なのだ。
本書の著者は、無駄な会議を減らすことが創造性を回復させる鍵だと説く。
特に日本企業では、「会議がないと不安」という心理が根強い。
しかし、リモートワークや生成AIの進化により、意思決定の多くは非同期でも成立する。
Slackのスレッドやドキュメント共有で十分に議論できる時代に、「全員集合」の必要は薄れている。
子どもに学ぶ「最強の会議術」
なぜ会議は非生産的になるのか。本書で紹介されている「マシュマロチャレンジ」の実験が示唆的だ。
参加者が乾燥パスタとテープ、マシュマロでタワーを作るというこの実験では、最も優れた成果を出したのは幼稚園児のチームだった。
子どもたちは権力争いに時間を費やさなかった。誰も“パスタ株式会社”のCEOになろうとはしなかった(『ワークハック大全』より)
一方、ビジネススクールの学生たちは「正しい答え」を探そうとして、議論に時間を浪費した。これはまさに現代の会議の縮図だ。
大人になるほど「リーダーシップ」や「正解探し」に縛られ、自由な試行ができなくなる。
生産的なチームとは、意見を戦わせるよりも、すぐに手を動かすチームである。試行錯誤の回数が多いほど、アイデアは洗練される。つまり「議論よりも実験」なのだ。
本書の理論を実践するならば、次のような工夫が考えられるだろう。
・全員参加の会議を「30分×半分の人数」で実施する
・議題ごとに意思決定者を明確にし、他のメンバーは録画で共有
・「マシュマロチャレンジ」を社内ワークショップとして導入する
会議を「必要」から「選択」に変える
会議を減らすための最初の一歩は、「本当にこの会議は必要か?」と問い直すことだ。
本書では、英国の大手電力会社が「会議を投票で決める制度」を検討している事例が紹介されている。
社員の過半数が「必要ない」と判断すれば、その週の会議は中止される。
会議を自己アピールに時間が費やされる非生産的なソーシャルグルーミングの場にしてはいけない。時間を短縮すれば議論に集中するようになる。(『ワークハック大全』より)
この発想は、現代の「会議依存症」社会に一石を投じるものだ。
リモートワークや副業が広がる今、個々の時間の価値は高まっている。上司が「週次会議をなくそう」と言うだけで、チーム全体の空気が変わる可能性もある。
人生で避けられないのは「死と会議」だけ――だからこそ、勇気を出して会議を変えよう。
著者の提案は、単なる「時短術」ではない。
人間が本来もつ創造性を取り戻し、仕事に「余白」を取り戻すための思想である。
もしあなたが明日の会議招集メールを受け取ったなら、こう問いかけてみてほしい――「それ、本当に必要?」と。







