わが国は自国の防衛力に
責任を持つよう求められている

 そもそも、「モンロー主義」とは1823年にジェームズ・モンロー米大統領(当時)が表明した外交方針を指す。当時、米国は欧州の紛争に介入しない代わりに、欧州諸国に南北アメリカ大陸に干渉しないよう求めた。これをモンロー主義という。

 欧州の列強は19世紀、アジア、アフリカ、中南米などで植民地を増やした。20世紀初頭になると、対外債務不履行を理由にベネズエラに対する海上封鎖を行った。当時のセオドア・ルーズベルト米大統領は、モンロー主義を修正した。軍事介入を正当化し、欧州の介入を排除しようとした。ルーズベルトは、自らの方針を「話すときは穏やかに、しかし手には棍棒(こんぼう)を」と形容したといわれている。

 こうした考え方を基礎に、トランプ大統領は「米国を再び偉大にする」(MAGA)ため、国家安全保障戦略(NSS)では国益を極大化する方針を示した。それが、中国の影響力が高まる、中南米を最重視する方針だ。

 一方、これでインド太平洋や欧州の安定にコミットしないことは明確になった。わが国など同盟国には、自国の防衛力に責任を持つよう求めた。米国が他国に関心を持つのは、自国の利益になるときだけというのが基本方針だ。

 この方針では、日欧が安全保障の基礎として重視した、米国との同盟関係は事実上かなり軽いものになるだろう。実際、欧州諸国には、「米国はもう信用できない」との声もある。これまで米国が重視してきた法律や政治、文化などソフトパワーによる世界安定への寄与は放棄されるとの見方すらある。

 トランプ氏の政策をそのまま受け取ると、今後、米国は主に軍事力によって自国利益の実現に走るだろう。米国の軍備を拡張し、武力に基づいて、国内の製造業の復興も実現しようとしている。これが実現すれば、最終的に米国の覇権は強大化する。

 NSSでは欧州に対する強硬姿勢も示している。米国の防衛力に頼っているのだから、米国の国益に反する政策を止めるよう求めた。これは、欧州に対する警告ともとれる。米国の意図に沿わないものは、決して容認しない姿勢と解釈できる。