米国にはもう頼れない…
中国やロシアが領有権拡大を目指すリスクも
米ハーバード大のグレアム・アリソン教授の寄稿が興味深かったので紹介したい(米フォーリン・アフェアーズ誌、2025年11月)。アリソン教授は、第2次世界大戦後の欧州は80年に及ぶ平和を享受したと指摘。それはローマ帝国以降で最長の平和だった。
その基礎にあったのは、第1次、第2次世界大戦を教訓に、日米欧をはじめとした主要国が協力して築き上げた「法による秩序」である。主要先進国は、民主主義の重要性というソフトパワーを磨き、新興国や途上国とも共有してきた。
ところが現在、ドンロー主義が始動したことで、世界平和や秩序は崩壊の危機に直面している。トランプ氏は、さらにイランへの軍事介入をも示唆した。現実になれば、中東情勢はまさに無秩序な状態に陥りかねない。
トランプ氏は、グローバル化で米国が手にしたベネフィットを捨て、米国の武力で自国の利益を追求する姿勢を明確に示した。それは主要先進国にとって、米国に頼って経済安全保障体制を安定し、多国間の経済連携を推進するのが難しくなったことを意味する。米国の対外拡張主義を理由に、中国やロシアなどが領有権の拡大を目指す恐れも高まる。
わが国をはじめ主な民主主義国家は、結束して法に基づいた国際秩序の再構築に取り組むべきだ。口で言うほど容易なことではないにせよ、諦めずに努めることは必要だ。
わが国としてすべきことは、自力で欧州やASEAN各国との関係を強化し、経済安全保障面での連携を深めることだ。世界の法的秩序を作り直す時期に来たのである。そうした取り組みと並行して、わが国は自国の防衛力の整備も欠かせない。
安全保障の専門家からは、「国家と国家の利害が衝突する極めて危うい状態に陥りつつある」との警鐘が鳴らされている。世界の権力構造が急速かつ根本から変質していることをしっかりと理解すべきだ。








