ベネズエラに続いて
グリーンランドにこだわるワケ

 ドンロー主義の手始めとして、トランプ氏はベネズエラ攻撃に踏み切った。まず、西半球に位置する中南米から、米国の国益になる資源を確保するためだ。

 ベネズエラに続き、メキシコやコロンビアに対しても麻薬カルテルの撲滅を主な理由に、軍を派遣する考えを示した。しかしそれは具体的な根拠を示さず、政治トップが犯罪組織と組んでいる、などと一方的な主張をしているように見える。コロンビア政府高官は、トランプ氏の強硬な拡張主義によって「中南米地域の社会経済は壊滅する」と悲観的な見解を示した。

 トランプ氏は、米国の石油大手企業を中心に、ベネズエラで最低1000億ドル(約15.8兆円)の投資を求めた。ベネズエラ側は、トランプ政権に協力姿勢を示しているという。MAGAを実現するという大義名分で、トランプ氏の主張を通用させる姿勢だ。

 さらに注目は、グリーンランド領有の意欲を改めて示したことだ。北極海で中国はロシアと連携して資源開発を進め、「氷上のシルクロード構想」を推進している。これに対抗しようと、トランプ氏はグリーンランドの住民に一時金を支払い、状況によっては軍事介入も辞さない構えだ。

 トランプ氏がこだわるのは、中国やロシアへの抑止力だけではない。ベネズエラで石油を抑え、グリーンランドで希土類(レアアース)を確保したい意向があるようだ。米国地質調査所によると、同地のウラン、ネオジム、プラセオジム、テルビウムなどは150万トン(米国の埋蔵量とほぼ同じ)の埋蔵量を誇る。

 現在、世界のレアアース精錬・精製能力の90%は中国が有している。半導体など先端分野の成長、さらには安全保障で需要が急拡大している、レアアースの自国での供給力を増やすことで対中依存を低下させる。そして、米国の世界への影響力を引き上げる。そうした狙いもあるはずだ。

 一連の発言から、トランプ氏は、中国とロシア同様、力による覇権拡大を目指しているように見える。そのプロセスとして、まず、取引(ディール)を提示する。相手が受け入れないと、軍事力を行使し支配する。それにより、トランプ政権の支持拡大につなげたいのだろう。