入社時の「期待」と
現場の「日常」はなぜズレるのか

 若手が入社時に語る理由には、

「成長できそう」「人や文化に惹かれた」「社会に価値を出せそう」

  といった未来への期待が並びます。

 一方で、退職理由として多く挙がるのは、

「人間関係」「評価への不満」「やりがいが感じられない」

 といった、日々の仕事の中で積み重なる体験です。

 入社の動機は「未来」、退職の引き金は「現在」。その“現在”をつくっているのが、上司の言葉や、チームで交わされる日常のやり取りです。

 言葉の内容そのものはもちろん重要です。

 ただ、最終的に若手の行動に強く影響するのは、その言葉を通じて「自分がどう扱われたと感じたか」です。

 忙しい現場ほど、このズレは「仕方ないもの」として放置されがちですが、若手はその違和感を、期待を下げることで、自分なりに折り合いをつけようとします。

 解消されない違和感の積み重ねが、「退職」という選択につながることも少なくありません。

若手の心を削る
悪意なき上司の“地雷ワード”

 若手が静かに離れていくチームには、悪意のない“地雷ワード”が日常的に飛び交っています。

 例えば、こんな言葉です。

「そんなに頑張っても、すぐ給料は上がらないよ」
「私も納得してないけど、上が決めたことだから」
「うちは新しい提案が通りにくいから、前例通りで」

 上司としては、現実を伝えているつもりかもしれません。

 しかし若手の頭の中では、こう翻訳されます。

「ここで頑張っても、意味はない」
「考えても、どうせ変わらない」
「期待されていないんだな」

 これらは一度聞いただけで退職の決定打になる言葉ではありません。

 ですが、同じニュアンスの言葉を何度も浴びることで、若手は少しずつ“考えること”や“期待すること”をやめていきます。

 誰かに強く怒られたわけでも、否定されたわけでもない。

 それでも小さな失望が積み重なると、若手は心の距離を、少しずつ取るようになります。