「日本の不動産市場は、相続税を節税したい皆さんの
英知と創意工夫でここまで大きくなったんですよ!」

かずお:一棟収益とか、不動産小口化商品の相続税関係の節税(※1)がつぶされたよね。ここら辺は東京の地価にはマイナスに効くと思うんだけど。外国人の取得規制とセットでやらないと、中国とか相続税がかからない国の人たちが圧倒的に勝ちやすい市場になっちゃうから、全体のバランスを取った施策にはしてほしいな。

のらえもん(のら):僕は相続税圧縮は悪だと思ってるから、さっさと国税に規制してもらいたい。

かずお:のらさん、日本の不動産は基本、相続税対策でこれまで発展してきたんですよ。大東建託しかり、大和ハウス(工業)しかり。相続税をどう逃れるかの英知が日本の不動産と国土を発展させてきたんですよ。それがなかったらこんなに地方の経済も発展しなかった。相続税対策で地方にアパートが供給されそこに工場ができ、働く人も集まり、そうやって日本の国土は発展してきたんです。建設業は乗数効果も大きいので。

はと:そうだよね、何もなければ田んぼにアパート建てないよな。でも高市さんの政策といい相続節税つぶしといい、若干市場を冷まそうとしてる雰囲気は伝わってきますよね。転売許さん、みたいに銀行が切れてるのかな?

のら:不動産の短期保有取得に対しては、住宅ローンを絶対使わせないみたいな雰囲気を銀行から感じる。お上から銀行にお達しがあるんじゃないの?

かずお:銀行はアップフロントフィーいっぱい取れるし、自行への収益貢献でいったら明らかに短期転売屋をたくさん相手にした方がうれしいはずだけどなあ。金利収入なんかよりも、はるかにそっちの方が大きいんだから。でもそのマネーゲームのせいで、一般人が取得できないことにお上は怒ってるのかな。

はと:次ふさがれるのは3000万円特別控除(※2)じゃないかなあ、といつも思ってますけどね。あれ、住んだ期間何も関係ないし。

――改めてですけど、なんでこんなマンションって人気あるんでしょうね。維持費も高いし。

かずお:そうなんですよ、僕らも頭の中で疑問符が湧いてるんですよね。それから、高齢化社会の中で、マンションの最後ってどうなるんだろう。今、日本で最初に供給された世代のものが建て替え期を迎えてますけど、建て替えられるのは1%のとっても幸せな物件だけで、残り99%は昨今の建築費の上昇の影響もあり、もうかんないからデベロッパーが来ないんですよね。

はと:平成25年くらいに始まった青山のマンションの建て替え、ずっとストップしてるもんね。建て替えられたらみんなもうかったのに。やっぱ地震とかが来て、みんなが損得より命が大事だよって目覚めないとダメかもしれない。港区にある緊急輸送道路沿いの某旧耐震マンションとかも、耐震診断で危険と出たのに、管理組合の中でもめててずっと建て替えできてないみたい。

かずお:所有者の意思統一ができなくて大変なんだろうな。あと、定期借地権分譲マンションは適切に終わりを迎えられるのかも興味あるよね。

――定借マンション、今結構増えてますよね。50年後などに更地にして返さなきゃならないし、借地代が発生するけど、比較的リーズナブルに買えるとあって結構人気。

はと:定借マンションの開発って、デベにしたらそっちの方が分譲よりも収支が合うって感じ?

デベマン:単純に入り口の時点から「この土地定借だったらどう?」っていう話で回ってくるのが増えている。

かずお:定借ってちなみに今住宅ローン融資はどうなんですか?

デベマン:新築は付きますね、普通に。ネットの銀行の一部が弱いみたいな話も聞きますけど。

はと:中古はやっぱ残り年数が少なくなるとローン付けは厳しい。そもそも建物価値も少なくなってるから、頭金をかなり入れなきゃいけなくて。

かずお:残り30年を切る定借マンションって賃貸に出したときの利回りで7~8%で回るやつが結構あるんですよね。それで30年運用したら200%以上回収できちゃうの。

のら:都内の主立った定借マンションでいうと、トップランナーが確か銀座タワーで、その次が品川タワーだったっけ。

かずお:定期借地権分譲マンションって、残り25年を切ると明確に価格が落ちていくので、もしかしたらそういうのを安く拾っといたら、永遠に住めるマンションとしてもうかるんじゃない?だって「私はじゃあどこに住んだらいいんですか?」とか叫びながら居座れば解体できないじゃん。「無理だから取りあえず年期限延長してくれ」とか、そういうのでズルズルいけんじゃねーかなって。それに絶対解体積立金が足りなくなるんですよ。こんなに建築コストインフレしてるから。

――かずおくんがすごい悪い顔してる。

のら:残り20年で壊すことがわかってる定借マンションって、それでも大規模修繕とかするのかね?

かずお:定借マンションのオーナーに聞いたところ、管理組合の中でやっぱりおじいちゃんとかは「このマンションは五十何年で解体するし、もったいねえエレベーターは入れ替えない」って主張して、意外と支持を集めちゃったりするみたいだよ。僕は“定借マンションは返さないぞ”派閥に最近入ったので、オーナーになったら「適切にメンテナンスして地主には返さない、こんなきれいなものを解体するのは社会的損失だって」絶叫することにしてる。

デベマン:管理組合の中の方向性の不一致で管理不全マンションになっちゃう!怖い!

 私の観測範囲だと、これから定借の物件の契約を結ぶときに地主と建物の無償譲渡特約を付けるケースが最近出てきてるんですよ。つまり、定借期限を迎えたときに、建物を壊さない代わりに、解体準備金も全部地主がもらうよと。君たち壊さなくて住んでていいけど、建物は全部こっちにもらうんでその代わり賃料払ってね、って。こういうパワー解決手法も出てくる気配もするな。

のら:50年ローンと修繕積立金と管理費払い終わった後に、待ってるのは賃貸マンションになる未来って……。

デベマン:それは適切に意思決定をできなかった、やっぱり入居者の皆さまのせいということに……。

1月19日(月)公開の第4回「大型取引・開発編」に続きます。

※1 一棟収益とか、不動産小口化商品の相続税関係の節税:
相続開始前5年以内に購入した賃貸用不動産は、これまでのような路線価や固定資産税評価額ではなく、購入価格を基に地価変動を加味した金額の8割程度で評価される。2027年1月1日以降の相続から適用。これにより、従来の「購入価格」と「評価額」の大きな乖離を利用した節税は難しくなる。また、不動産小口化商品は取得時期にかかわらず、課税時期(相続・贈与時)の通常の取引価格(時価)に相当する金額で評価される。詳しくは資産防衛&節税術『不動産オーナーと富裕層を直撃!国の新たな“節税術潰し”が判明…26年にも「賃貸不動産の相続税評価ルール」大変更へ、対策を伝授』参照。

※2 3000万円特別控除:居住用の住宅を売却した場合の譲渡所得から最高3000万円を差し引くことができる制度。不動産の譲渡所得は本来であれば所得税・住民税・2037年までは復興特別所得税の課税対象となるが、ここから3000万円を差し引けるため、大幅な節税が可能となる。自宅売却であれば、居住期間の長さは問わず適用できる。