松江北高校の前身校出身の
2人の首相
島根県は、人口が少ないことでは鳥取県に次ぐ2番目だが、松江北高校の前身校に通った生徒から後年、若槻礼次郎と竹下登という2人の首相を出している。
若槻は松江藩の下級武士の生まれで、変則中学科に入ったものの家が貧乏で学資が続かず在学8カ月余りでやめ、小学校の教員などをした。苦学して帝国大学法科大学(現東京大学法学部)を卒業、大蔵官僚になった。大正から明治にかけて2度にわたり内閣を組織し、1930年にはロンドンにおける軍縮会議の首席全権を務めた。
竹下登は旧制松江中学を経て早稲田大商学部卒。郷里の新制掛合中学で英語の代用教員をしていたことがある。島根県議から国政に転じ、87年11月~89年6月の間、第74代首相を務めた。日本の消費税は税率3%で89年4月から初めて導入されたが、それを決めたのは竹下内閣の時だった。
竹下登の父・竹下勇造も松江中学卒だ。造り酒屋を営む傍ら、地元の掛合村村長、県会議員などをした。ミュージシャンのDAIGO(玉川学園高等部卒)は、勇造の曽孫、登の孫に当たる。また、漫画家の影木栄貴(えいき・えいき、共立女子高校卒)は、DAIGOの実姉だ。
首相を複数、輩出した高校は、東京・私立学習院高等科の4人(旧制学習院卒の近衛文麿と東久邇宮稔彦=ひがしくにのみや・なるひこ=、新制卒の細川護煕、麻生太郎)、2人の山口県立山口高校(旧制山口中学卒の岸信介と佐藤栄作)、群馬県立高崎高校(旧制高崎中学卒の福田赳夫と中曽根康弘)、東京・私立麻布高校(橋本龍太郎と福田康夫)、東京・私立開成高校(前身の共立学校に通った岡田啓介と新制開成高校卒の岸田文雄)、それにこの松江北高校しかない。
細田吉蔵は昭和時代に衆院議員を10期務め、運輸相などを歴任した。
石橋通宏は、立憲民主党所属で現職の参院議員(3回当選)だ。NTT労働組合出身の組織内候補で2世議員だ。
田部(たなべ)長右衛門は島根県雲南市・奥出雲の山林大地主で「鉄師御三家」の田部氏の当主が代々踏襲する名前だ。その23代当主は衆院議員、島根県知事、島根新聞社社長など、島根県の政財界のトップとして君臨した。大正時代に旧制松江中学を経て京大経済学部卒だ。
官僚では外務事務次官を務めた門脇季光(すえみつ)がいた。首相・鳩山一郎(高等師範学校附属中学、現筑波大学附属中・高等学校卒)の下でソ連との国交回復に努め、初の駐ソ大使になった。退官後にホテルニューオータニのトップに就いた。
元国土交通事務次官の毛利信二、元復興庁事務次官の由木文彦も卒業生だ。
科学技術庁の原子力局長をした興(おき)直孝は、静岡大を卒業した縁から退官後、母校・静岡大の学長をした。
松江市長を務めた卒業生では、海軍主計少将出身で戦前に市長(官選)を務めた石倉俊寛、「アイデア市長」と言われた宮岡寿雄(93年~00年在任)がOBだ。







