ノイエ・クラッセは「懐古」ではなく「次の基準をつくるプロジェクト」
F:いわゆるレトロデザインの復刻とはまったく違うと。
レオン:BMWは「過去の1台をそのまま現代に持ってくる」、というやり方をしてきませんでした。もちろん昔のモデルへのオマージュはあります。Z8は507を意識したクルマでしたし、XMにはM1を思わせるデザイン要素を入れています。ただ、それはあくまで「要素」としてであって、形をそのままなぞるものではありません。
今回のノイエ・クラッセも同じで、02シリーズの姿をしたクルマが出てくるわけではありません。プラットフォーム、制御系、工場まで含めて、造り方そのものを一度リセットする。そのための旗印として、この言葉を使っている、ということです。
ケビン:iX3は、その最初の具体的なモデルです。見た目はX3に近いですが、中身はこれまでのBMWとは全くの別物です。専用プラットフォームで、第6世代の電動パワートレインを使い、制御系のコンピュータも新しいものになります。航続距離も欧州仕様では800kmクラス。いまBMWに乗っている方でも、同じ延長線上にあるとは感じないと思います。
レオン:生産についても、ハンガリーのデブレツェンにバッテリーEV専用の新工場を立ち上げました。ノイエ・クラッセは、そこでゼロから作ります。単に新しいモデルが出ますよ、という話ではなくて、「これからのBMWは、こういう造り方をします」という宣言に近いものなのです。
F:なるほど。X3は現在と未来のBMWの境目に立っているクルマ、ということですね。
前:その通りです。X3は現実的で、日常的で、完成度を積み上げていくクルマです。一方で、ノイエ・クラッセは、次の基準をつくるプロジェクト。その二つが同時に走っているのが、今のBMWだと思っていただければ分かりやすいと思います。
F:とても良く分かりました。今日は長時間ありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
Photo by A.T.
ゴルフバッグは横に積めない。だがその代わりにBMWは何を選び、どこに力を注いでいるのか。X3を巡る今回のインタビューは、その答えをかなり率直に教えてくれたと思う。
いまのBMWと、これからのBMW。
その境目に立っているのがこのX3であり、その先に掲げられている旗が「ノイエ・クラッセ」なのだろう。今後の展開に大いに注目したい。
(フェルディナント・ヤマグチ)







