なぜ高市トレード活発化?
株高、円安・金利上昇の背景

 昨年10月、高市政権の発足をきっかけに、金融市場では高市トレードが活発化している。その主な取引内容は、日本株買い・円売り・国債売りである。それに伴い株高、円安そして金利上昇が同時に進んだ。

 大きな変化が経済データに表れている。財務省の対外および対内証券売買契約等の状況によると、高市政権が発足した25年11月、投資信託委託会社等の買越額は10月の3479 億円から7745億円に一気に倍増した。

 この背景には、主に米国株などのETF(上場投信)を買う個人投資家が増えたことが挙げられる。それに伴い、ドル買い・円売りのトレードは増加した。国内の資金は海外に流出したのである。

 高市トレードを積極的に行う要因の一つは、高市首相の政策スタンスだ。高市首相は事あるごとに、異次元緩和を重視したアベノミクスの継承を主張してきた。責任ある積極財政も重視するとしている。

 緩和的な金融政策と、拡張的な財政政策の組み合わせ(ポリシー・ミックス)は、短期的に景気を押し上げる。物価対策としての減税や給付金で個人消費は増え、企業業績にも恩恵が及ぶ可能性は高い。

 日銀の慎重な政策姿勢で金利が上がりにくい状況が続くと、為替市場では円安・ドル高の方向に進みやすくなる。それは、主に輸出企業の業績をかさ上げするだろう。そうした期待感から、個人や機関投資家は円を売って海外の株を買った。それに加えて大手投資家は、政策の恩恵が見込まれる、防衛やIT関連などいわゆる「高市銘柄」も買いに回った。

 高市首相は、総合経済対策などの財源を国債の増発で賄う考えだ。その姿勢には一定のリスクがある。金利が上昇する中で国債の供給が増加すると、財政悪化さらには財政破綻リスクも上昇する。投資家は国債を買いにくくなり、長期金利は上昇した。その結果、株高、円安・金利上昇の動きが鮮明化した。