高市トレードの弊害を抑えるには?
衆院選の結果次第で「逆回転」も

 高市トレードの弊害を抑えるには、どうしたらいいのか。まずは機動的な金融政策の運用が必要になるだろう。円安に一定の歯止めをかけ、物価上昇の勢いを止めるべきだ。それと同時に、政府は既得権益にとらわれずに構造改革を行わなければならない。

 過去の政権も構造改革を主張した。しかし、実行は難しかった。同じことを繰り返す余裕など、もはや日本に残されていないことは国民も理解しているだろう。

 円安が加速した一因として、わが国の産業構造の転換が進まず、国内事業の期待収益率が低下したことは見逃せない。そうした状況を打破するには、国内に成長期待の高い産業を育成することが何よりも重要だ。具体的には、自動車に次ぐ、IT分野など新しい産業を育てるための教育や規制緩和などを進めることだ。

 1月半ばの時点で、高市首相は供給制約が深刻な中で、これまでの需要を刺激する政策方針を修正しなかった。首相が設置した日本成長戦略会議には、異次元緩和を重視するリフレ派や、積極財政を主張する人材が参画した。そうした意見が支配的になると、財政の悪化やそれに伴う金利の上昇が起きやすくなるだろう。それは、中長期的にわが国経済にマイナスの影響を及ぼすことが想定される。

 また、ここへ来て無視できない政治要因が出てきた。それは、衆議院解散を発表したことで新党が結成され、政治勢力の変更の可能性が出てきたことだ。高市首相は支持率の高さを頼みとして、衆院解散・選挙に打って出たつもりだろうが、首相の思惑とは裏腹に自民党の敗北を予想する見方さえある。

 衆院選の行方によっては、これまでの高市トレードの巻き戻しが起きることも考えられる。その場合には、株売り・円の買い戻し、債券の押し目買いが起きるだろう。

 そうなると、今までの高市トレードの逆、つまり、株価の下落と円高への転換、長期金利の下げ止まりの方向に動くことも考えられる。ただ、その場合でも、金融市場の動きは速く、展開が不安定化することが懸念される。いずれにしても政治の不安定化は、経済・金融にとってマイナス要素になることは間違いない。

真壁昭夫・多摩大学特別招聘教授のプロフィール