葬儀の際に寺へ払う戒名料などのお布施の額が、これまで「お気持ちで」といったことで曖昧に言われてきたのと同様、葬儀全体にかかる費用についても旧来の葬儀社は「葬儀ごとに個別の対応が必要になるケースも多いから」といった理由(それは別に間違いでもない)で、そうはっきりとした金額を公に提示してはこなかった。
しかし、多くのネット葬儀社はこの“葬儀の定価”を、かなり明確に打ち出している。
たとえば前述のユニクエストが運営するサイト「小さなお葬式」では、トップページに「小さな火葬式 159,000円」「小さな一日葬 299,000円」といった金額が表示され、「無料資料請求で全ての葬儀プランが50,000円割引!」などと言ったことも書かれている(2025年6月下旬現在)。
これが多くの人に「安くて安心だ」といった思いを抱かせ、旧来の葬儀社よりもこれらネット葬儀社に葬儀を依頼しようとする人が増えていった。
ネット葬儀社が流行るほど
葬儀の質は低下していく
しかし繰り返すように、ネット葬儀社とは実は“葬儀社紹介業”であり、彼ら自身で葬儀そのものを取り扱うわけではない。つまり、利用者に「安くて安心」と思われている“定価”にしても、そこから一定の仲介手数料を引いて下請けの葬儀社に流すわけだ。
ゆえに実際の葬儀社が手にする額は、その「安くて安心」な値段からさらに下がる。一般葬儀社サイドに言わせれば、ネット葬儀社から流れてくる葬儀の仕事は、「やってられないような低価格のものも多い」という。
しかしネット葬儀社の宣伝力、営業力は抜群なので数だけは来る。それを逆照射する形なのだが、旧来の葬儀社はなかなか自前の営業力で客を捕まえにくくもなっており、要するに薄利多売でネット葬儀社経由の仕事をたくさん受けるしかなくなっているという葬儀業界の流れが生まれているのだ。
そうなれば当然のことではあるが、だんだん一般の葬儀社が現場で執り行う葬儀の質が粗雑になっているという指摘がある。利益率の低い仕事を、とにかくたくさん回していかねばならなくなっている業界環境があるわけだから、そうならないほうが逆におかしい。







