そもそも前述したように、ネット葬儀社とは実のところ“葬儀社紹介業”なので、彼らが提示している葬儀の“定価”には、実際に葬儀を行う葬儀社への仲介手数料が上乗せされている。
だから一般の葬儀社が「うちで直に頼んでやらせてもらえれば、ネット葬儀社よりも安くできる」と言うのには、ちゃんとした根拠と理由があるわけだ。
追加料金不要とうたっても
葬儀に不測の事態はつきもの
さらに、葬儀とは“遺体”という大変デリケートなものを扱う仕事である。たとえば火葬場が混んでいて待ち時間が長くなったり、夏の高気温で遺体の保存状態が悪くなったりするなどのことがあれば、緊急に冷却措置をとって保存状態を良好に維持するなどのことも必要だ。
また結局、葬儀とは最後まで「弔問客が何人来るのか」ということがわからないものでもある。想定よりも多くの弔問客が来たなどの際には、用意すべき仕出し弁当の数などにも変動が出る。
そしてそういう場合、必然的に“追加費用”が発生することになる。
『誰が「お寺」を殺すのか』(小川寛大、宝島社新書)
しかし、ネット葬儀社にとって“定価表示”は非常に重要な価値観だ。また彼らが世に現れた当初、そのホームページなどにはよく「追加料金不要」といったことも表記されていた。
大手ネット葬儀社のユニクエストとよりそうは、それぞれ2018年と19年、消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けている。簡単に言うと、彼らはそれ以前の段階で自社サイトに「葬儀の追加料金はかからない」といったことを掲げていたのだが、実際にはかかる例があったとして法令違反だとされたのである。
これは事実としての違法行為であり、何ら擁護できるものではない。
この事例は、彼らが定価表示や追加料金不要といった自社サービスに関する“明瞭な料金体系”にこだわった結果としての、ある意味での落とし穴だったと見ることもできよう。







