明朗会計のネット葬儀社は善か悪か?「安さ」だけでは語れない葬式のリアル写真はイメージです Photo:PIXTA

「安くて明朗会計」を掲げるネット葬儀社が、ここ十数年で急速に存在感を高めている。定価表示やお悩み解決コラムなど遺族に寄り添った姿勢は、葬儀の不透明さを解消したようにも見えるが、安さゆえの弊害も…。ネット葬儀社は、本当に葬式をいい方向に変えたのか?※本稿は、『宗教問題』編集長の小川寛大『誰が「お寺」を殺すのか』(宝島社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

ネット葬儀社の登場により
業界の勢力図は様変わりした

 葬儀とは、たしかに“宗教儀礼”ではあるのだが、一方でそれが行われる地域に根付いた“伝統的な民俗行事”という側面を強く持つ。

 よって実際に、関東の葬儀と関西の葬儀では内容がいろいろと異なっていたりもする。たとえば香典袋の水引(包み紙などにかける帯ひも)の色が、関東では黒と白なのに、関西では黄色と白のものが用いられるなどのことはその典型である。

 よって葬儀社は、その地域ごとにいろいろ異なる葬儀のあり方に対応した作業をこなさねばならず、そういう事情から地域密着型の中小企業が多い。

 つまり、“全国にネットワークを持つ巨大葬儀社”のようなものは昔からあまり存在してこなかったのである。しかし、その状況をインターネットが変えつつある。

 大阪市に本社を置く株式会社ユニクエストは、主にネット上での営業活動を展開している“ネット葬儀社”である。つまり、その活動の現場が世界の国境線さえまたぐネット空間であるわけだから、受注は日本中からくる。

 実際にユニクエストが2021年3月31日に出した報道発表によると、彼らが2020年に受注した葬儀の件数は約5万6000件だったという。