新刊『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念して、著者の勅使川原真衣さんと、坂井風太さんとの特別対談を実施。坂井さんは勅使川原さんの著書を「すべて読んでいた」そうで、初対面のお二人とは思えぬ熱い話が繰り広げられました。(構成/ダイヤモンド社・大西志帆)

「思わず絶句…」リーダーが無意識で使っている“非人間化ワード”とは【勅使川原真衣×坂井風太(8)】

前回≫「受け入れることが大人」だと思ってない? メンバー思いのリーダーが陥りがちなNG思考【勅使川原真衣×坂井風太(7)】

勅使川原真衣(以下、勅使川原) いや、よかった。この本からここまで世のなかのことを全体性を持って議論できるなんて。

 前回の「決められない」っていうのも、能力主義の弊害のようにも感じますね。どこかに自分の知らない「正しい」答えがあるはずだって。

坂井風太(以下、坂井) わかる。

勅使川原 つながってますよね。自分はまだ知らないんだってみんな思ってる。

坂井 答えがないって前提で生きてる人と、答えがあるって前提で生きてる人が違うわけですよ。

勅使川原 ほんとそうですね。

「存在の重さ」を考えること

坂井 ということで、今までいろんな話をしてきたんですけども。

勅使川原 湯気出てました頭。

坂井 ほんとですか? ありがとうございます。
 今回の本、やっぱすごくいい本だと思うんですけど、一番伝えたいことって改めて考えると何ですか? それは絞れないかもしれないけども。

勅使川原 いや、でもね、今日たくさんキーワードをいただいちゃった気がしていて。

 改めて書いた時を振り返ると、ここは変えた方がいいとか、ここは変える必要がもしかしたらないのかもしれないとか、最後統合したら別に変える変えないじゃないのかもねっていうところなのかもしれない。

 自分の言葉に戻ってしまいますが、「あなたがいて私がいる」という、その人間の揺らぎっていうのは、自分のダメな部分も含めたインテグリティなのかなって思いました。

組織の違和感

坂井 いいですね。

勅使川原 いろんな面があるけれども、今ここに生きてるって意味では存在の重さ、万人変わらないので。

坂井 まさに、存在の重さですよ。
 私が一番憤りを覚えるのは、やっぱり「非人間化」なんですよね。要は、人を道具化するってことです。

 だから、人を人として見るとかも大事だと思う。人をコンピテンシーで見るっていうことって、それは人間なのか? ってずっと思うんですよ。

勅使川原 なるほど。

坂井 それはある意味、人を機械化している気がしていて。便宜上そうであるっていうふうな距離感ならいいけど、非人間化することに対する憤りがすごい強いです。

勅使川原 いやー、なるほどな。味わいならいいですか?「持ち味」とか。

坂井 「持ち味」はいいですよ。人を人として見ないというのは、言葉尻に出ると思うんですよね。

 「営業の駒」って言ったりとか、「エンジニアを使う」……使う? みたいなのは。言葉狩りはしたくないけど、そう思う時はある。

「わけわからん」をおもしろがる

坂井 そして、お話しして思ったのは、「もっとよくできる」は絶対忘れちゃいけないってことですね。

 これまでいろんなメディアに出た弊害があるとしたら、坂井は「こうしたらダメ」ってひたすら言ってて、だからうちの組織は坂井さんの分析の通りダメなんだ、って捉える人がいるんですけど、違うぞってずっと思ってます。

 だって私、そういう人間じゃないですもん。本当はマッチョ主義なので、嫌な環境って自分で変えればいいじゃんって思ってるんですよ。

 会議が暗い? じゃあちょっと元気な声出せばいいじゃんって思うし、うちの組織はダメだって思ったならば、身の周りから良くすればいいじゃんって。

だから、何でもありではなくて、ちょっとでも物事を良くしようっていう気持ち自体は忘れちゃいけないと思っている。これは、私のあんまり譲りたくないところなんですね。

 今回の本の帯にも掲載いただいた「抵抗感は好奇心に塗り替えられる」というのは、そういう意味です。まず一回おもしろがればいいじゃんって。

 「なんじゃこの組織、わけわからん。なぜこうなってんだ?」と感じたなら、「どうせならおもしろがってやるか」って。

勅使川原 今、世の中はちょっと逆方向にいっちゃってますよね。リーダーたちが疲れてるから、楽させてあげようと。
 それで、どんどん曖昧にしようって方向になったりしてますけど、本来、曖昧はつらいですよね。曖昧は優しくない

坂井 曖昧はつらい。

勅使川原 決めないことは結構つらい。

坂井 そう、それが結局みんなの負債になる、組織の負債になる、事業の負債になる。

 だから、「言わなきゃいけないことは言わねばならぬ」を引用リツイートでっていうのが、勅使川原さん。

勅使川原 いやー、なんか見透かされたな。おもしろい!

坂井 でも私はそういう生き方ミニマリストじゃないところが、勅使川原さん世代の特徴だと思うんです。

 その点に対してすごく尊敬しているし、それを見習わなきゃいけないのに、変に倫理主義とかで「レスバするのがかっこ悪い」っていうのはもしかしたら違うのかもって、最近思い始めているところです。