「真の世界強国」を目指す中国が
日本に硬軟両面で臨むワケ
中国の習近平国家主席は、米国が中国の発展と安全保障にとって最大の脅威だと認識している。習氏は、既に2017年の海軍幹部に向けての演説で、中国は海洋強国となり、ランドパワーのみならず、ランドパワーとシーパワーを兼備する真の世界強国となる、その重大な戦略的決定はすでに下されていると語った。
そこに立ちはだかるのはもちろん米国だ。中国の当面の戦術としては、逆説的ながらできるだけ対米関係を安定させ、自国の国力を向上させるための時間と空間を確保する。そして最終的には米国との競争に勝利し、国際社会の中心に立つことが習氏の戦略目標だ。
こうした大国間競争の状況下で、現在の中国の対日姿勢をどう理解すればよいのか。中国が米国との戦略的競争に勝つためには、欧州各国やインド、韓国、オーストラリア、カナダ、そして日本といった国々との関係を発展させ、できれば米国との間にくさびを打ち込むことが望ましい。
トランプ政権による国際秩序の破壊は中国に好機をもたらしている。元旦以来、既に韓国の李在明大統領とカナダのカーニー首相が北京を訪問し、これから英国のスターマー首相とドイツのメルツ首相がそれに続く。しかし、日本を含めた多くの国々は米国と同盟を結んでいる。そこで中国は、こうした国々との間では、一方で協力しながら他方では競争するという矛盾した対応を取らざるを得ない。
日本に対しても硬軟両面の対応が取られている。過去一年程の間にも、30日までの中国滞在についてはビザを免除したり、多くの地方政府が投資誘致ミッションを日本に派遣したりする一方で、海上保安庁に相当する海警の巡視船を尖閣諸島の海域に送り続け、日本列島のまわりでロシア軍との共同行動を実施している。
いわゆる第2列島線を越えて空母を太平洋に進出させ、その艦載機が自衛隊の偵察機に30メートルや45メートルまで近づく事案まで発生した。万が一飛行機が衝突して死人が出れば、両国の世論が沸騰し、事態がエスカレートする可能性が高い。
2025年10月末、韓国でAPECが開かれた際、就任したばかりの高市早苗首相と習主席の首脳会談が行われた。そこで双方が重層的な意思疎通の重要性を確認し、特に防衛当局間の実効性のある危機管理と意思疎通の確保の重要性について一致した背景には、こうした切迫した事情があった。一部の憶測とは異なり、首脳会談の準備は外交当局間でスムーズに行われたという。







