元東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児医師(古賀整形外科院長)
8割の人が一生に一度は経験する腰痛。加齢とともに起きやすくなるが、中には「危ない腰痛」もあるという。腰痛治療のエキスパートとして知られる元東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児医師(古賀整形外科院長)に、腰痛が起きる仕組みや、20秒でできる慢性腰痛改善ストレッチを聞いた。(取材・執筆/ジャーナリスト 笹井恵里子)
なぜ年を取ると
腰痛が起きやすくなるのか
寒さがこたえる時期、部屋の中でじっとしてばかりいて、ふと動こうと思ったら腰に激痛が走った……などという人もいるかもしれない。日本人の8割が一生に一度は腰痛を経験し、そのうち25%は仕事や学校を休んだことがあると報告されている(私の周りでは、30代や40代の編集者がたびたびぎっくり腰を起こしている)。
しかし、20代で腰痛持ちの人はそれほどいない。そもそもなぜ年を取ると腰痛が起きやすくなるのだろうか。
腰痛治療のエキスパートとして知られる近藤泰児医師はこう説明する。
「加齢に伴って新陳代謝が衰え、長年使ってきた物が壊れるように人の身体も傷み、骨や椎間板などの性質が変化するからです。衰えが最初に現れるのが『椎間板』なのです」
椎間板の中身「髄核」が
年とともに減少する
簡単に腰の構造を説明しよう。下のイラストのように、仙骨の上にある5つの骨(椎骨)を「腰椎」といい、脊柱(背骨)の一部。腰椎の上が胸椎、そして首に位置するのが頚椎だ。
背骨の構造 拡大画像表示
「背骨は24個の椎骨と仙骨、尾骨により構成されます。そして骨と骨の間には椎間板が存在していて、クッションの役割を果たしているのですが、椎間板の中身、ゼリー状の『髄核』の水分量が年とともに徐々に減少します。クッション機能が低下してしまうのですね」
髄核の弾力がなくなると、日常の動作で髄核の周りの繊維輪に小さな傷ができていく。
「すると、何かのきっかけでダムが決壊するように大きな傷ができることもある」と近藤医師。
「それを通じて髄核が外側に飛び出して神経の根元を圧迫して炎症を起こすと、強い痛みが生じます。これを腰椎椎間板ヘルニアといいます。その場合は良くなるまでに数カ月を要するでしょう」
椎間板ヘルニアの原因 拡大画像表示







