駅ビルに路面電車が乗り入れる案に
社内では「どうするんだ」の声も
路面電車のターミナルビル乗り入れという大工事にもかかわらず、計画決定から10年、着工から5年で完成したのはかなりスムーズな印象だが、動き出すまでの道のりは必ずしも簡単なものではなかったようだ。
齋藤「高架案に決定して駅ビルの2階に乗り入れることになった時に、社内にはどうするんだって声もありました。そんな中、当時の南條兼人地域まちづくり本部地域共生部次長(現・山陽SC開発常務取締役)が海外視察に行って、『ヨーロッパでは普通に乗り入れもしているし、今こそ変わるべきだ』と主張しました」
齋藤「でも駅ビルの中に路面電車を突っ込んだらビルの面積が狭くなり、入居できるテナントが減ってしまいます。駅ビルは正直、お金もうけをしないといけないので、一店舗でも多くのテナントを入れたいのが本音です」
――どのように解決したのですか?
齋藤「駅ビルは本来、市の土地までせり出したらダメなんですが、民地(minamoa)の中に入ってきた路面電車の面積分だけ、ビルを前に出させてもらえる協定を広島市と結んで、今の形になりました。これから40年、50年、広島の人にも観光で来られる方にも誇りを持ってもらえる駅になったと思います」
ターミナルビル建て替え範囲(JR西日本資料に加筆)
――商業施設としてのminamoaはどのような位置づけですか?
齋藤「minamoaは地域の方を意識して、中四国では初出店の『月島もんじゃ もへじ』や『日本橋三代目たいめいけん』や、地元で人気のコーヒー店などの飲食店を入れました。ビジネス客向けのお土産などはリムジンバスや新幹線に近い北口側の『ekie』(2017年開業の商業施設)に固めています」
――広島市と広島電鉄の3社で進めた工事は順調に進んだのですか?
齋藤「工事において、それぞれのJV(特定建設工事共同企業体)の建設部隊が入るのですが、『今日ここで工事するから、広電と広島市さんはちょっと止めてな』『そんなん困る』といったことが普通は起こるようです」
齋藤「本工事では着工後の2022年9月に『広島駅及びその周辺地区における公共空間の設定及び利活用に関する覚書』を締結したことが本当に大きくて、これを合言葉にして『そっちで工事するなら今日は俺たち休むわ』みたいに、やりやすく進んだところはあります」







