とにかくカッコつけない。弱いところ、情けない失敗、コンプレックスを隠すどころか、武器にして笑いに変えていた。
中でも最も衝撃を受けたのは、ある芸人さんの「脇汗」事件だ。私は汗っかきで、夏場のリポートでグレーのシャツを着ると脇汗が目立つ。恥ずかしくて必死に隠していた。
しかし芸人さんは違う。ある芸人さんが、びしょ濡れの脇を見せて「いや~、すごいことになってまして!」と笑い飛ばしていた。その瞬間、現場の空気が一気に和み、結果的にとても面白い番組に仕上がった。
私は転職面接でもこれを実践した。「キレのあるMCができるアナウンサーではありません」と言い切った。「ただ、商店街のおばちゃんと仲良くなるリポートなら自信があります」と続けた。
実況の経験を聞かれて、「数回しかないので、ほかの受験者のほうが上手いと思います」と答えたこともあった。背伸びしない。嘘もつかない。
すると不思議なことが起きる。面接官が粗探しではなく、私のいい所を探そうとしてくれるのだ。「素直で、一緒に働いたら面白そう」と、まるで味方になってくれるような感覚があった。
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ある時、全国ネットのラジオ局が中途採用を行った。地方局の猛者たちが集まる狭き門だ。私は先述した「弱み開示」作戦で挑み、最終選考まで進んだ。
しかし結果は不採用。やはりスキル不足か――そう諦めていた。
それから1年後。携帯に知らない番号から着信があり、留守電を聞いて耳を疑った。「○○放送の○○です。相談したいことがあるので折り返しください」







