その一方でヒエログリフは、日本においてしばしば「象形文字」とも呼ばれてきた。

 確かに同時期のメソポタミアを中心に広く使用された楔形文字とは見た目が異なり(楔形文字も最初はウシや家などを描いた象形文字であったが、早い段階で必要に合わせてかなりの省略化・単純化がなされた)、鳥や動物、人間の身体の部分など、視覚的に区別が可能な点が大きな理由であろう(ただし鳥もヘビも種類が色々あるし、フクロウとミミズクの違いなどもあってなかなか難しいのだが)。

絵のようなヒエログリフは
アルファベットに近い

 このように表意文字であるヒエログリフだが、同時に表音文字でもあるのだ。だから現在のアルファベットのごとくヘビは「F」、フクロウは「M」で表されたりもする。実際のイメージとしては、かなりアルファベット的なのだ。

 私などは著書にサインを求められた際には、それを利用して次のように書くのである(写真12)。

実は日本語とそっくり!?古代エジプトの象形文字に隠された、漢字との意外な共通点同書より転載

 道則(MICHINORI)のM(フクロウ)をもじったものだ。

 これはまだ娘が幼稚園に通っている頃に、先生から宿題的に出されたものであろう自分のサインを一生懸命に作成している横で「パパ」が自分用に創作したものである。そしてそれを今でも愛用している。幼き日の娘の思い出とともに。

 ただ表音文字には注意も必要で、母音は無視されて子音のみが記される。ゆえに古代エジプトのヒエログリフで「美しい」を意味する単語のNFR(翻字表記)を例にとると、たとえば我々が読みやすいように子音の間に故意に母音を挟み込み、ネフェル=NEFERと発音するのだ。