だが、たとえ若者の広範な政治参加が実現したとしても、SDはやはり厳然として存在しており、それに関する対応策を講じる意義はいささかも減じられることはない。同時に若者の政治参加を促すことができるような対応策を、理想的と表現できそうだ。
逆に、内容がいかにすばらしくとも、若者の参加意欲を奪ってしまうのなら、それは愚策である。
そして蛇足だが、民主主義の枠を壊さないかぎりでの対応策を模索したい。SDを克服するために民主主義もろとも破壊してしまうなら、元も子もない。
とはいえ、ある程度は枠を飛び越える議論もなければ、良策はみつからないだろう。さらに言えば、こうした民主主義の限界に触れる作業によって、民主主義の構成を変えていくことも必要な試みである。
10代・20代の国会議員が
13%を占める選挙区割り
まず、世代別選挙区の構想を取り上げよう。この構想については、すでに井堀利宏や竹内幹による一定の議論の蓄積がある。
標準的なものとして、宇野重規の著作で紹介された構想を参照したい。世代別選挙区制度では、10歳ごとの世代で選挙区がつくられる。このとき、議席数は人口に比例して決まるので高齢者の選挙区は多くなるものの、20代にも確実に議席が与えられる。
すべての議員を世代別選挙区で選ぶなら、21年衆院選をもとにした総務省による抽出調査(「令和3年10月31日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調」)のデータにしたがえば、10代・20代で13%、30代でも13%の議席が確保されるはずだ。
投票者の割合では10代・20代・30代の合計でおよそ20%で、これらの年代では議員はほとんどいないので、SDおよび老人支配に対して、ある程度の抵抗力の向上は期待できる。
ややきつい言い方をすれば、実際の世代別投票者数と比べて、若者世代の政治の声は、だいぶ優遇されて聴かれるようになる。ただし、当たり前だが、若い世代の選挙区から選出された若い政治家が、若い世代にとって望ましい政策を志向するわけではない。
すなわち、世代別選挙区の導入効果はSDの形式的な側面に対してであって、実質的な側面については不明と言わざるをえない。







