たとえば、現状の衆議院選挙の選挙区の人口格差は2倍未満とされているので、この範囲内であれば、若者の選挙区をできるだけ多く配置することは(運用上は)許されるかもしれない。
現実的に導入可能な政策として
世代別選挙区制度は評価できる
それでは世代別選挙区制度をまとめたい。全国規模かあるいは地域ブロックごとに選挙区を想定するかは大きな争点ではあるものの、現状の選挙区よりも有権者の散らばりが広範囲に及ぶのは確実である。
そうであれば、選挙運動はもちろん、政党政治のあり方もかなり変化するだろう。こうした政界全体の変化をもたらすという意味でも、同制度がSDに対する有効な手段だと言えるかもしれない。
やや心配なのは、同制度によって世代間対立を顕在化させ、惹起しないかという点である。この点が気になるので、効果は薄まるものの、細かすぎる年齢別の選挙区の設定は避けるべきだろう。
『民主主義の死角』(鵜飼健史、朝日新聞出版)
あるいは、全世代を包摂するような選挙の仕組みも残しておいた方が賢明かもしれない。世代別選挙区の導入が高齢者をエゴイズムに目覚めさせ、SDをいっそう暴力的な支配に変えてしまうのであれば、本末転倒だ。
筆者として同制度を評価したいのは、SDがある状態であれ、ない状態であれ、導入可能だという点である。この点は高齢者を直接的に不利に扱う方策との大きなちがいである。
選挙区を年代別に設定することは一般論としても可能で、原理としての普遍性が高い。政治的な代表において、「土地」から「年齢」へという中心的な基準の変化は、大きな期待を集める可能性がある。
そしてその時点で、あわよくばSDという発想が消えているのを期待したいが、この制度の導入にはかなりの政治的な胆力が必要となるだろう。







