高市政権「2月総選挙」で問うべき争点は?消費税減税の財源、実質賃金プラス転換、農業政策…Photo:JIJI

高市早苗首相は1月23日の衆院解散と総選挙を表明し、政策転換と連立再編の是非を国民に問う構えだ。所得税の壁引き上げや食料品の消費税2年ゼロなど減税公約の財源を、赤字国債に頼らず歳出削減で本当に捻出できるのか。加えて、給付付き税額控除、労働・外国人制度、少子化や農政まで、制度横断改革を争点とすべきだろう。(昭和女子大学特命教授 八代尚宏)

予算成立前解散で国民に問うべき争点は
「減税」と財源の実効性

 高市早苗首相は1月19日の記者会見で、1月23日に衆議院を解散し、1月27日公示、2月8日投票日というスケジュールで総選挙を実施すると発表した。

 この予算成立前解散の主たる理由として「責任ある積極財政」の打ち出し等、石破茂前政権と比べて自民党の政策内容が大きく変化したことと、自民党の連立相手を長年の公明党から日本維新の会に組み替えたことについて、国民の信任を問うことの必要性を掲げた。

 ここで、すでに国民民主党との合意による、いわゆる所得税の壁の引き上げだけでなく、新たに消費税の時限的な引き下げとして、食料品について2年間、消費税の対象としないことも公約として挙げた。

 こうした減税の財源としては、赤字国債に依存するのではなく、ムダな補助金の整理等、歳出面の削減で賄うことが示唆された。この具体的な内容やスケジュールについては、社会保障改革を議論する超党派の「国民会議」で検討を加速するとした。

 この会議では、高市総理の総裁選以来の公約である「給付付き税額控除」についても検討する。これは日本の税・社会保障に不足していた、低所得層への所得再分配機能を強化する上で重要な役割を果たすものである。

 野党には大きな反対はないが、給付の対象となる課税最低限以下の所得層のデータが欠けているため、実現まで数年を要するという行政側の「先延ばし論」がある。

 しかし、金融所得の捕捉等には時間を要するとしても、それ以前の暫定的な形で、勤労所得に限定したものであれば、国税庁の確定申告制度のインフラを活用し、個人の自己申告をベースにした税金の還付方式で対応できる。仮に金融所得等を隠して申告した場合には、事後的に脱税に準じた重加算税を課すことで不正を防止できる。

 次ページでは、上記以外の今回の総選挙で議論されるべき争点を挙げ、望ましい政策のあり方を論じる。