なお、手法や予算の掛け方にもよるが、新卒一括採用の方が採用コストは安くなる可能性も高い。大学や自治体主催のマッチングイベントを活用することで、説明会などの実施コストを下げることができる。
中途採用の場合、エージェントなどを活用する際には想定年収の3割程度の手数料を企業側が支払わなければならない。1人当たりの採用コストや、手間を考えると、新卒一括採用は実は効率がよい。
2025年においては、新卒・中途ともに、さらには雇用形態や年齢層に関係なく、求人は売り手市場であり、人手・人材不足が続いている。どのような対象、手段であれ、採用は困難ではある。新卒一括採用モデルは、対応も対策もしやすいのである。
「学業阻害を許さない」論は
世間を知らない人間の意見
新卒一括採用の特徴は、在学中に未経験の若者を選抜し、卒業と同時に学業から職業に間断なく移行するものである。ゆえに、経済的断絶、収入の空白期間が発生しにくいことも特徴である。さらに、主に在学中はキャリアセンターなどからサポートを受けられる。
この慣行に対する批判および提言においては、「学業阻害を許さない」「卒業してから、卒業論文を片手に就職するべきだ」という意見が表明される。
新卒一括採用という慣行は日本だけだと言われる中、説得力がある意見に聞こえる。学業阻害に関しては、大学教員としてはたしかに、就活時期に講義の欠席者が続出する状態になり、複雑な心境になる。
ただ、申し訳ないが、卒業後の就活は自立・自律型で、経済的に余裕のある学生を前提とした牧歌的な見解だと言わざるを得ない。
就労未経験の若者が卒業後、所属する教育機関がない状態で就職先を探し続ける状態を想像してほしい。孤立そのものではないか。周りに仲間もいない状態で、ひたすら採用試験を受け、落ち続ける状態が続く日々を想像してほしい。
いや、企業を受け続けられる学生ならまだいい。経済的に困窮した学生が増えていると言われる昨今では、生きていくため、奨学金を返済するためのアルバイトに没頭せざるを得ない。生活をするのがやっとで、就職活動などする時間を捻出できず、非正規雇用で固定化する可能性がある。







