能力をホメられた人は
短期的にパフォーマンスが改善
ホメ方はその種類によって、受け取り手にさまざまな印象を与えます。中でも、「あなたは優秀ですね」「本当に頭がいいですね」といった、能力をホメる言葉。
相手を勇気づけ、自信を持たせるように思えるホメ方ですが、実際のところ、落とし穴が潜んでいます。
宮城教育大学のレイス氏は、81名の大学生を対象とした実験を通じて、能力ホメがもたらす影響を検討しました(注2)。
参加者を2つのグループに分け、パズルを解く課題に取り組んでもらいました。
1つ目のグループには解決可能なパズルが与えられ、課題を達成するごとに「あなたは本当に優秀です」「この種の課題の才能があります」といった、能力をホメる言葉がかけられました。
一方、2つ目のグループには意図的に解決不可能なパズルが与えられ、「この種のパズルは、解けない人がいても仕方のないことです」と言われました。
実験の結果、1つ目のグループのメンバーは課題をクリアするごとにパフォーマンスが向上していきました。しかし、2つ目のグループのメンバーは、そのあとに解決可能な課題を与えられても、パフォーマンスの改善が見られないことがわかりました。
2つ目のグループの参加者たちには、行動面の変化も見られました。次第に課題への取り組み自体をあきらめてしまったのです。課題に対する意欲が低下し、意図的に不正解を書いたり、課題を放棄したりするケースもありました。
能力ホメは周囲の人の
やる気を下げる副作用が…
能力をホメられることは、短期的には自信を高める効果があります。しかし、その自信は「能力があるから成功できた」という認識に基づいているため、失敗を経験した際に打撃となってしまいます。
この効果は「周囲の存在」によって増幅されます。実験では、解決可能なパズルを与えられた参加者が成功し、ホメられる様子を、解決不可能なパズルに取り組む参加者たちが目の当たりにする状況が設定されていました。その状況では、「自分には能力が足りない」という意識が、より強く生じていました。
(注2)Leis, A.(2021). Praise in the EFL Classroom: A Growth Mindset Perspective. Theory and Practice of Second Language Acquisition 7(2),37-59.







