研究の結果、子どもを対象とした研究とは異なり、大人の場合、「知的」といった能力へのホメが、必ずしもネガティブな影響を及ぼすわけではないことがわかりました。

 能力をホメられた参加者は、失敗後も自分の知的能力への信頼を維持できていました。

 一方で、「働き者」といった人物全体としての特徴・特性のように努力をホメられた参加者は、予想に反して否定的な影響を受けていました。失敗を経験したあと、課題への楽しさが低下し、成功した感覚も得にくくなったのです。

「働き者なのに成果が出せなかった」という自己評価の低下につながった可能性があります。

劇薬の能力ホメを
適切に使いこなそう

「よくがんばりました」といった形で努力をホメられたグループの反応は、どうだったのでしょうか?

 このグループは、失敗後も比較的高い楽しさを維持していました。プロセスに焦点を当てたホメ方は、失敗を学びの機会として捉えることを可能にします。

 これらの発見から、職場におけるホメ方について、いくつかの示唆が得られます。

 第一に、大人に対して、その人の能力や資質をホメることを、必ずしも避ける必要はないということです。適切な文脈で能力を認めることは、困難に直面した際の心理的な支えとなり得ます。

 第二に、「働き者」「がんばり屋」といった人物特性としての努力をホメることには、慎重にしたほうがよいということです。こうしたホメ方は、失敗時に落ち込みを招きます。この種のホメ方は逆効果となるかもしれません。