(3)「トータルで見れば、問題ないと思う」→称賛のズレ

 最もズレが起きやすく、上司自身もそのズレに気づきにくいのが、この一言です。

「トータルで見れば、問題ないと思う」

 否定しているわけではありませんし、むしろフォローのつもりで使われることも多い言葉です。

 しかし、あるメンバーはこう話していました。

「その案件で、自分なりに一番悩んだ判断ポイントがありました。でも、そこには触れられず、“全体としては問題ない”と言われた瞬間、もうそれ以上話すことがなくなった気がしました」

 メンバーが話したかったのは、結果の総評ではなく、その手前にある試行錯誤や、意識していたプロセスです。

 そこを飛ばして「全体評価」でまとめられると、「ここは評価を受ける場だったんだ」と感じ、次から深い話をしなくなることがあります。

 このとき、メンバーは「褒められなかった」と感じているわけではありません。

「自分が大事にしていたところを、見てもらえなかった」という感覚が残っているのです。

3つNGワードに共通する
「ズレの正体」とは?

 ここまで見てきた一言には、共通点があります。

 悪い言葉ではない。仕事の場では正解だった。ただし、メンバーが期待していた対応とズレている。

 つまり問題は、「何を言ったか」ではなく、上司の関わり方がメンバーの期待に合っていたかどうかなのです。実際、1on1支援ツールKakeaiに蓄積された270万回を超えるデータとメンバーの声を分析すると、この「期待とのズレ」が満足度を大きく左右することがわかっています。

 メンバーが上司に期待している対応は、例えば次のようなものです。

- 具体的なアドバイスが欲しい
- 一緒に考えてほしい
- まずは話を聞いてほしい
- 意見を聞きたい
- 報告したい

 重要なのは、どれが正しいかではありません。この期待と、上司の関わり方が合っているかどうかです。