職人だけでなく
経営者の人材確保も課題
国土交通省の調べによれば、近年の建設業就労者の4割近くが55歳以上であり、あと10年~15年もすれば大半が退職する。半面、29歳以下の若い担い手は1割程度。いずれも全産業の平均よりも悪い数値であり、職人の高齢化と技術承継が大きな課題だ。
同省建設業課では、昨年から「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」という有識者会議を継続的に開催しており、業界構造の分析や人的資源の確保に向けた議論が進められている。海外では「ブルーカラービリオネア」とも揶揄される、エッセンシャルワーカーの市場価値高騰が話題だが、国内インフラの更新や災害対応など国土そのものを支える業界である以上、日本の建設業者としても本気で取り組むべきビジョンであろう。
継続的な賃上げによる人材(職人)の呼び込みに加え、これを実現できるサステナブルな強い企業経営。そしてそれを実現できる経営者が、業界にはこれまで以上に求められる。持続的な賃上げを達成できない業者は、倒産・廃業という形で市場からの退出を余儀なくされる状況が、これからも続くとみられる。
企業経営という観点で見れば、経営者の高齢化も見逃せない。「経営者の病気、死亡」を主要因とした建設業の倒産は、2025年で78件と判明。前年の77件を上回り、2000年以降で最多となった。帝国データバンクの調べでは、建設業における社長の平均年齢は60.3歳(2025年3月時点)と全産業平均(60.7歳)を若干下回っているが、1995年比では+6.1歳と、高齢化の度合いは「不動産業」(+6.3歳)に次いで2番目に大きい(全体平均は+5.3歳)。実は企業の倒産に直結する、“経営者の高齢化”への対応も課題だ。
賃上げが成長企業の絶対条件となりつつある現状で、建設業者はこれまで以上に淘汰の波にさらされることになる。ただ、製造業などの設備投資による過大な債務を抱えるビジネスモデルとは異なり、人的資源などをうまく他社へ継承していくことで、比較的、出口戦略に課題は少ない業界と言えるかもしれない。
事業承継やM&Aなど、経営者がしっかり“経営”を意識することで、プレーヤーの選択と集中が進み、稼ぐ力と賃上げ力をもった中堅企業が牽引する、健全な業界構造へと変貌していく可能性もある。事業再生や成長企業といった、国内経済政策のトレンドを意識した経営が求められている。







