一方で、カーナビを改造し、運転中でもテレビが映る状態にすること自体は、厳密には違法や不正ではない。先述の通り、ドライバー本人ではなく同乗者が視聴するケースを想定しているためだ。
なお、TVキャンセラーを装着していても、保安基準に適合すれば車検に合格する。ただし、改造を行うと自動車メーカーの製品保証の対象外となる場合があるので要注意だ。
こうしたグレーゾーンの状況が続いているため、摘発されない程度に「画面をチラ見」しながら運転している人が後を絶たないのである。
しかし実は、TV視聴を目的としたカーナビ改造には、単に「『ながら運転』を助長する」という問題にとどまらないリスクが存在する。
意外と知らない
クルマ業界の自主規制
厳密には違法ではないにもかかわらず、自動車メーカーやディーラーが純正のカーナビを「停止時だけTVが映る仕様」で出荷しているのはなぜか。
それは「自主規制」を施しているからだ。
実はクルマ業界では、カーナビの件に類似した「自主規制」が意外と多い。軽自動車のエンジン出力は基本的に64馬力(47kW)となっているが、この数値に統一するよう法律で定められているわけではない。
国内メーカーの乗用車にはスピードリミッターが搭載されており、最高速度が時速180キロに制限されているが、これも自主規制である。
自主的な「規制」ではないが、メーカーの自主的な「配慮」によって標準装備されている装置にエアバッグがある。エアバッグは日本の保安基準では義務化されていないが、衝突安全性を高めるために、当たり前のものとして装備されている。
エアバッグは欧州や北米では義務化されているため、国内外の仕様を共通化することでコストダウンを図る目的もある。国際規格と共通化するために、将来的に日本でもエアバッグが義務化される可能性もありそうだ。
一方で、国内自動車メーカーはすでにエアバッグを標準化しており、その種類も充実したものになっているから、今さら義務化する必要もないという意見もある。







