老後の健康を左右するのは
タンパク質の摂取量
若い人は食欲があり、いっぱい食べるので、よほどの偏食でない限り、タンパク質が足りなくなることはないと思います。
ここでは、私を含めた高齢者が健やかな老後を送るために必要なタンパク質の摂り方について述べたいと思います。
高齢になって生活に支障をきたす原因は運動機能と認知機能の低下です。運動機能に関してはタンパク質摂取量が大きく影響するという研究結果が多数あります。
認知機能の低下に関してはタンパク質の摂取量が直接影響を及ぼすことを強く示唆する研究結果はありませんが、運動することが認知機能維持に良い効果を及ぼすといった報告はあるので、タンパク質を十分に摂取することが間接的に認知機能維持にも役立ちます。
加齢による筋力の低下を「サルコペニアsarcopenia」、もう少し広く、心身の活力低下を「フレイルfrailty」といいますが、タンパク質摂取量が多いほどサルコペニアやフレイルになりにくいという研究結果があります。
ある研究によると、日本の高齢女性(平均75歳)で、1日70グラム以上のタンパク質を摂取している人たちは、63グラム未満しか摂取していない人たちに比べてフレイルになることが4割ほど少ないそうです(注3)。
また、2019年にイギリスでおこなわれた調査では、85歳以上の人で体重1キロあたり1~1.2グラムのタンパク質を摂っている人たちと0.8グラム以下の人たちを比べると、タンパク質を多く摂っている人たちのほうが自立した行動ができる割合が有意に高かったという結果が得られています(注4)。
筋力に関しては先ほど述べたことから運動とタンパク質の摂取がとても大事であることをご理解いただけると思いますし、それらのタンパク質が体内で必要なだけ作られないと心身の活力が低下するのは当然だということもわかっていただけると思います。
(注3)Kobayashi S. et al. (2013) High protein intake is associated with low prevalence of frailty among old Japanese women: a multicenter cross-sectional study. Nutr. J. 12, 164-173.
(注4)Mendonca, N. et al, (2019) Protein Intake and Disability Trajectories in Very Old Adults: The Newcastle 85+ Study. J. Am. Geriatr. Soc. 67, 50-56.







