相手を知るための2つのアプローチ
この「相手を知る」ための具体的なアクションとして、以下の2つのアプローチをお勧めします。
(1)事前のリサーチ(準備ができる場合)
初めて会う人であれば、インターネットで経歴やインタビュー記事を調べたり、共通の知人に「○○さんってどんな方ですか?」と聞いてみたりします。「この人は何に価値を感じるのか」「どんな言葉が響くのか」の仮説を持っておくだけで、説明の組み立て方は変わります。
(2)会話冒頭の5分を「取材」に変える(準備ができない場合)
事前の準備が難しい場合は、本題に入る前の雑談タイムを「取材」の場として活用します。
雑談を単なるアイスブレイクで終わらせてはいけません。以下のような質問を投げかけ、相手の「価値観」や「関心事」を探るのです。
「最近、お仕事で一番やりがいを感じるのはどんなときですか?」
「今、どのあたりに一番ご苦労されていますか?」
「週末はどんなふうに過ごされることが多いですか?」
「最近観た映画で、面白かったものはありますか?」
これらの質問から得られたキーワード(ゴルフが好き、効率化に悩んでいる、家族を大切にしている……等)を、その後の説明の中にさりげなく織り交ぜていきます。
「先ほど○○がお好きだとうかがいましたが、実はこの提案は……」
「効率化がお悩みとのことでしたが、まさにこの機能が……」
たった一言、「あなたの話を聞いていましたよ」というサインが入るだけで、説明は「自分ごと」として相手の心に響き始めるのです。
「何を話すか」の前に「誰に話すか」を問う
「説明」とは、自分が話したいことを話す場ではありません。相手が求めているものを手渡す場です。今日から、説明の準備をするとき、あるいは誰かに話しかけるとき、まず自分にこう問いかけてみてください。
「私は今、誰に向かって話そうとしているのか?」
「この人は、今、何を求めているのか?」
犬塚壮志 著 『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)
「何を話すか(コンテンツ)」を考える前に、「誰に話すか(相手)」を深く考えること。この順序を変えるだけで、あなたの言葉の重みは劇的に変わります。
相手に関心を持ち、相手を知ろうとする姿勢。それこそが、最強の「説明力」の源泉です。ぜひ、次の会議や商談の前に、相手の顔を思い浮かべながら、「この人のために」という視点で言葉を選んでみてください。その小さな思いやりが、大きな成果となって返ってくるはずです。







