日本には、実はいろいろな公的サービスが用意されているのに、それを知らないまま「全部自分でやらなければ」と抱え込んでしまう人もいます。

 なかには、家族の介護のために仕事を辞め、自分の人生や仕事、趣味、友人関係、健康などまで犠牲にしてしまうケースもあります。外に出る機会や人と会う時間も減って孤立し、ようやく家族の介護を終えたときには「自分の人生は何だったのだろうか」という深い喪失感に襲われてしまう……。そんなケースもけっして珍しくはありません。

 ですから、自分自身の人生や仕事を守るためにも、積極的に情報を集めて制度やサービスの内容を知っておくことが大事です。

 そして遠慮せずに、専門家や自治体、地域ネットワークなどをどんどん活用すること。

 介護もある意味では「情報戦」です。さまざまな知識を得て対策を立てておくことで、将来の安心につながります。

 一人で抱え込まないこと。情報と支援を味方につけること。それが何よりの備えになるということを知っておいてほしいのです。

介護施設の内容やサービスは
体験入所して生活に合うか確認を

 また、介護施設についても同様です。

 介護施設や高齢者向けの住まいには、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設」「介護医療院」「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「シニア向けマンション」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「ケアハウス」「グループホーム」など、さまざまな種類がありますが、それぞれに内容やサービス、料金などが違います。

 最初のうちは、高齢の親を施設に入れるなんてかわいそうだといって在宅介護をしていたものの、親の要介護レベルが上がったり、体調が急変したり、介護する人が倒れたりしたことで在宅介護が不可能になり、慌てて施設を探し始めるケースも少なくありません。

 そうなると、すぐに入所できる施設が限られていて、希望するような施設に入れないことも多く、それこそ親が満足できる生活が送れずに、不満や後悔が残ってしまうこともあります。