公的介護保険にはさまざまなサービスがある。認知症によって在宅で介護が必要になったとき、どのような点に注意をしてサービスを選んでいけばいいのか。特集『決定版 後悔しない「認知症」』(全25回)の#13では、介護サービスの内容と自己負担額、活用のメリット・デメリットなどを徹底解説していこう。かかるお金は幾らか、費用対効果が高い介護サービスはどれか。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)
使いやすい介護サービス
“コスパ”がいいサービスは?
住み慣れた地域で最期まで――。日本が目指す地域包括ケアシステムの理念である。介護が必要な状態になったとき、公的介護保険サービスを中心に、民間サービスやさまざまな社会資源によって高齢者の生活を支えていこうというものだ。
介護を必要とする人やその家族とサービスをつなぐケアマネジャー、ケアプランナーみどりの原田保代表はこう言う。
「ご家族からよく聞くのは“介護保険なんてまだ先の話だと思っていた”という言葉。まだ先の話と油断しているとある日突然、そのときがやって来て“思っていたのと違う”となってしまいがち」
認知症によって介護が必要になったとき、さまざまなサービスがある中で、どこに注意して選んでいけばよいのか。“コスパ”がいいのはどれか。サービスの内容とかかるお金を見ていこう。
まず、在宅での介護をしていく場合、「訪問介護」と「デイサービス(通所介護)」がその中心を担う。
訪問介護は日常生活全般の介護をカバーする。具体的には食事、入浴、排せつを中心に、ちゃんと服薬できているかの確認や冷蔵庫内の食品の衛生管理、さらには掃除や洗濯、買い物、ごみ出しといった家事的な支援など、まさに日常生活をサポートするサービスだ。
直接身体に触れたり、本人の行動や動作を見守ったり、一部介助をしながら掃除や調理をする「身体介護」と家事代行的な支援をする「家事援助」とに分かれ、支援の内容や時間によって費用が変わってくる。
「ここで気を付けたいのは、同居家族がいる場合、家事援助は原則として利用できない点」(原田代表)だ。ただし、同居する家族が病気を抱えていたり、介護認定を受けたりしている場合などは利用が可能になる。
また、サービス内容や条件によるものの、「90分以上の長時間滞在は難しい」「訪問介護を1日に複数回利用する場合は、2時間以上空けなくてはならない」といった規定があることに留意したい。
次ページでは、デイサービス(通所介護)、認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)、小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった公的介護サービス、さらに市町村事業、民間サービスと順に見ていこう。サービス内容、自己負担額の目安、要注意ポイントを挙げた表を参照してほしい。