良品計画のトップが「人」より「仕組み」を重視したワケ
小売チェーン「無印良品」をグローバル展開する良品計画は、かつて経営危機に瀕していた。2001年に社長に就任した松井忠三氏は、ある1つの結論に達していた。
それが「人の性格は、直らない」ということだ。
松井氏には、忘れられない記憶がある。ある取引先との懇親会で、部下が信じがたい発言をした。
「今日、オレは大事な用事があったんだ。なんでこんな日に懇親会を開くんだ?」
その日はサッカー・ワールドカップの予選日だった。テレビで観戦したかった部下は、取引先への配慮など微塵もなく、不満をぶちまけたのだ。これを聞いた松井氏は懇親会後に激怒したという。
「お前、何を言ったんだ!」
しかし、部下は反省するどころか言い訳に終始し、結局は会社を去ってしまったという。
どれほど情熱を持って説得しても、人の本質的な部分は変えることはできない。精神論で人を変えようとするのは、時間の無駄だろう。ならば、どうすればいいか。
松井氏が出した答えは、Googleと同じく「仕組み」で解決することだった。彼が導入したのは「MUJIGRAM(ムジグラム)」と呼ばれる業務マニュアルで、総ページ数は約2000ページもある。店舗のレイアウトから、接客時の言葉遣いまで、写真や図解入りで徹底的に標準化されている。
マニュアル化というと、「マニュアル人間にする管理強化」などといった批判もあるが、それは浅はかだ。むしろ逆である。
マニュアルは、現場から「迷い」を消し去るための武器なのだ。どうすればいいかわからない、自己流でやって失敗したらどうしよう……。こうした現場の「不安」を、マニュアルというインフラがすべて肩代わりしてくれるのだ。
迷いがなくなれば、誰でも一定の成果を出せるようになる。結果、良品計画は劇的なV字回復を遂げた。
松井氏は、ミスが起きた時の対処についても、徹底して「人」ではなく「仕組み」に焦点を当てるべきだと説く。







