《誰か一人から話を聞いたり、あるいは聞いて回ったりするのは、問題解決にふさわしい方法ではありません。個別に話を聞けば、誰もが責任を回避したくて言い訳をしたくなります。すると個人的な感情や推測が混じりますし、(中略)そうなると根本的な原因が見つかりづらくなるのです》(『無印良品の、人の育て方 “いいサラリーマン“は、会社を滅ぼす』松井忠三著、KADOKAWA)
個人を呼び出して問い詰めれば、誰だって防衛的になり、言い訳をする。それは人間の弱さであり、責めても仕方がない。だからこそ、松井氏は関係者全員を集め、事実とデータだけを机上に並べさせた。
「誰が悪いか」という犯人探しはしない。「プロセスのどこに欠陥があったか」だけを検証する。人格への攻撃を一切排除し、ただひたすらに業務フローという「配管」の詰まりを直す作業に徹するのだ。
Googleと無印良品に共通する思想
Googleの「心理的安全性」と、無印良品の「MUJIGRAM」。
生産性を上げるためのアプローチは異なるが、この2つの根底にある思想には共通点がある。「個人の資質や感情に依存しない」という点だ。そして、「余計な障害物を取り除くことで、人が本来持っている力を解放する」という点だ。
ただ、この2つの事例が指し示す事実は、我々の直感に反するパラドックスを含んでいる。 それは、「自由は、規律の中からしか生まれない」という冷徹な真理だ。
多くのビジネスパーソンは、マニュアルやルールを「創造性を殺す檻」だと考え、クリエイティブな仕事には、自由放任が必要だと信じている。 だが、現実は異なる。
Googleの研究において、効果的なチームの因子として心理的安全性と並んで挙げられたのが「構造と明瞭さ(Structure and Clarity)」だった。 「自分は何を期待されているのか」「どうすれば目標を達成できるのか」が明確でなければ、人は不安になる。 不安は脳の帯域を占有してしまう。







