僕の母親は70代で、学童保育の先生をやりながら元気に過ごしているけれど、年齢から来る体の不調はあるみたいで、それに対する薬を飲んでいるようなので、ポリファーマシーは対岸の火事ではない。
そこで今回、医薬品の事情に詳しく、ポリファーマシーに関する著書もある、神戸大学医学部の平井みどり名誉教授に話を聞いた。
5~6種類以上の薬の併用は危険
転倒のリスクが上がった事例も
ポリファーマシーは「ポリ=たくさん」「ファーマシー=薬」だから、字義通りに解釈すれば、「薬をたくさん飲んでいる」ということになりそうだが、正しい意味は違うらしい。
「単にたくさんの種類の薬を飲んでいるだけでは、ポリファーマシーとは言いません。複数の薬の併用により、副作用などの何らかの有害事象が起きることが条件です。併用する薬の数に明確な定義はなく、薬の数が3つの場合でも、有害事象が起きれば、ポリファーマシーとされます」(平井名誉教授)
ポリファーマシーについては、2005年に、一般社団法人日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」で指針を公表したことから歴史が始まる。そこでは「5~6種類以上をポリファーマシーの目安と考えるのが妥当」とされている。
ポリファーマシーの目安を考える際の参考となった研究がある。東京大学医学部附属病院老年病科の小島太郎講師(当時)(編集部注/現在の所属は国際医療福祉大学老年病学。職位は教授)の研究。だが、それによると、入院している高齢者では6剤以上の薬を併用すると、薬による有害事象が増える傾向が認められ、外来の場合は5剤以上で転倒のリスクが上がったことが報告されている(図38)。
同書より転載 拡大画像表示







