複数の科を受診する日本の制度が
ポリファーマシーを起こす要因に
なぜポリファーマシーは起きるのか。高齢者がポリファーマシーになりやすい理由を、平井名誉教授は次のように説明してくれた。
「高齢者の多くは様々な病気を抱えています。血圧が高いから降圧薬、血糖値が高めだから血糖降下薬、膝が痛いから鎮痛薬というように、症状が増えるにつれて薬も増えていく。また高齢者は4~5か所の病院や同じ病院の中の複数の診療科にかかっているケースも多く、同じ作用の薬が重複して出ているケースもあるのです」
現在の日本の医療は専門医制度で、診療科が細かく分かれているため、病気ごとに違う医師から診療を受けることになり、その結果、薬の種類が増えて重複する場合があるというわけだ。
「薬の副作用を抑えるための薬が処方される」こともよくある。身近な例は、痛み止めと胃薬だ。非ステロイド性抗炎症薬の「NSAIDs(エヌセイズ)」はよく効く鎮痛薬だが、吐き気、食欲不振、胃潰瘍(かいよう)などの副作用があるために、胃薬も一緒に飲む必要がある。これは仕方がないと思う。
ただ飲む薬が1種類の場合はよいが、高齢者の場合、何種類も薬を飲むことが多く、仮に薬ごとに副作用を抑える薬が必要となると、服用する薬の数がどんどん増えていってしまう。これなら、ポリファーマシーが生まれても不思議ではない。
「病気を治すために薬を飲むにもかかわらず、その薬の副作用を防ぐために、また別の薬を飲む」この行為に対して感じる自己矛盾。こんなことを考えるのは、僕だけなのだろうか。
不調を病気の症状と勘違い
処方薬が次々と増える矛盾
今あげたものとは別の原因で、ポリファーマシーが起きることもある。
ある症状(症状A)で医療機関を受診し、それに対する薬(X薬)が処方されたところ、X薬の副作用が出た。それを副作用だと思わずに(何らかの病気の症状だと思って)別の医療機関を受診して、新たな薬(Y薬)が処方される。今度はY薬の副作用が出て、X薬の時と同じように別の医療機関を受診して、また別の薬(Z薬)が処方される。







