75歳を境に薬による有害事象が増える理由を、平井名誉教授はこう説明する。

「高齢になると、体内の臓器の働きが低下して、薬物の血中濃度が高くなったり、薬物に対する反応が出やすくなります。その境界線が75歳なのだと思います」

『予防医療How Much? 病気のリスクをお金の価値で考えてみた』書影予防医療How Much?病気のリスクをお金の価値で考えてみた』(堀江貴文、メディカルレビュー社)

 つまり、「75歳を過ぎると、薬が効きすぎるようになってしまう」ということだ。詳しいメカニズムについて、平井名誉教授が解説してくれたので、僕なりに説明してみようと思う。

 一般的に、胃の消化機能は年齢を重ねるとともに低下するが、薬物の吸収については一部のものを除き、変化しない。その一方で、肝臓の代謝(分解)機能は低下するので、代謝されない薬物が血液中に流れ込み、全身に運ばれる。加えて、腎臓の機能も低下しているので、体外へ排せつされず、薬物の血中濃度が高いままで維持されることになる。

 薬が効いている状態が必要以上に続いてしまうことで、体に悪影響を及ぼすのだ。

 薬には細かい用法用量が決められている。それは多量に、あるいは長時間にわたって作用すると体に悪影響を及ぼすからだ。加齢により臓器の機能が低下し、薬が効きすぎてしまう危険性を抱える高齢者にとって、ポリファーマシーは由々しき問題と言わざるを得ない。