このような経緯で副作用が重症化して、ついには救急車で搬送されるという事態にもなってしまう。これを「処方カスケード」という。
図39のように、「薬の副作用に対して新たな薬による対処が繰り返される」という図式がカスケード(小さな滝)に似ていることから、こう名づけられた。
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処方カスケードが起きる背景を、平井名誉教授はこのように説明してくれた。
「多くの医師には、『薬を減らすと症状が悪化するのではないか?』という考えが根強くあります。だから、『症状が出たら薬を増やす』という対応になりがちです。また、ほかの医師が出した薬を減らすことに抵抗感があり、漫然と処方を続けるということもよく見受けられます。このようなことが重なり、処方カスケードが生まれるのです。
臓器の機能が低下した高齢者は
薬の反応が強く、害になりやすい
ここまでポリファーマシーが起きる原因について述べてきたが、ポリファーマシーの危険性について平井名誉教授に聞いてみた。
平井名誉教授によると、「70歳以上の高齢者は60歳未満に比べて、薬による有害事象の出現率が1.5倍~2倍も高くなる」とのこと。
東京大学病院老年病科の患者を対象とした研究では、若年層を除き、75歳以上の高齢者で薬による有害事象が顕著に増えている(図40)。
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