そんな状況の中で、スマートウォッチの限界を超える健康管理のデバイスがあるとの噂を聞き、開発者である奈良県立医科大学MBT研究所の梅田智広研究教授に話を聞いた。

 梅田研究教授が開発したのが、電力センサーを利用した「ライフスタイルセンシング」というシステムだ。

 家庭の分電盤に電力センサーを設置。家電の電力使用データからライフスタイルを可視化して、変化の予兆を察知して健康管理や生活習慣の改善を促すというもの。

 1分ごとにデータを取るので、家電の利用がほぼリアルタイムにわかり、住んでいる人がテレビを見ているのか、外出しているのか、寝ているのかなどが予測できる。

 医学と工学の両方の知識を持つ梅田研究教授は、生活習慣の乱れを早期に発見して改善を促すには、どんなデータを取ればいいのかを試行錯誤した末、電力センサーによるライフスタイルセンシングにたどり着いたという。センシングとはセンサーによって測定対象を計測して情報を取得する技術のことだ。

家電の電力データが
生活習慣を映し出す鏡に

「これまでも冷蔵庫やエアコン、電気ポットなど個別にセンサーを付けてデータを取るもの、ガスや水道のメーターを使うものなどがありましたが、いずれもスポット的なデータでした」(梅田研究教授)

 取得した電力データは、エアコンやテレビなどの「生活系」、電子レンジや冷蔵庫などの「食事系」、洗濯機や掃除機などの「活動系」に分類し、発生頻度や実施時間帯などをAIが分析。「夜中に冷蔵庫を開けるようになった」「電子レンジを使う時間が毎日違う」など、健康管理や生活習慣の乱れの把握などに活用できる(図43)。

図43 ライフスタイルセンシングの活用イメージ同書より転載 拡大画像表示