本格普及に向けた最も重要なことは何か?

 最後に、EV普及に向けた課題を考えたい。

 日産によれば、EVを検討したが購入しなかった主な理由トップ3は次の通りだ。

 充電インフラが不十分、航続距離の不安、そして充電時間が長い。

東関東自動車道下り線の酒々井(しすい)パーキングエリアで急速充電する様子東関東自動車道下り線の酒々井(しすい)パーキングエリアで急速充電する様子 Photo by K.M.

 これら3つの課題については、充電インフラは段階的に拡大傾向にあり、航続距離と充電時間についても新型リーフは大きく改善している。

 そうはいっても、給油から充電への行動変容に至るには個人差がある。ライフスタイルが違うからだ。

 欧州のように国や地域が政策としてEVシフトを仕掛けても、人々のライフスタイルや社会が一気に変わることは難しいことが明らかになった。

 一方で、国民に対する国の影響力が強い中国では世界で最も早くEVシフトが進み、またEV技術を応用したプラグインハイブリッド車の市場もEVと併せて一気に拡大している。

 そうした中、日本では今年、リーフ、スズキ「eビターラ」、スバル「トレイルシーカー」、また軽EVではBYD「ラッコ」、スズキ・ダイハツ・トヨタによる共同開発の商用車など、新型EVが続々と市場導入される。

 ここで改めて、EV普及での重要課題となるのがリセールバリュー(再販価格)だ。

 現状で、EVのリセールバリューは高いとはいえない。2010年代に比べるとリセールバリューは上昇しているとはいえ、新車買い替えの動機付けとしてのインパクトは弱い。

 EVのリセールバリューを巡っては、電池の劣化状態の評価を標準化する動きがあるが、そうした技術論とともに、中古EVの商流について業界が一丸となって取り組む仕組みが必要だと感じる。

 ただし、自動車メーカーは企画・製造・卸売りが本業であり、新車販売や二次流通には直接関わらないため、EVリセールバリューの安定化を議論する場が設定しづらい。

 その上で、可能性としては、自動車メーカーでつくる業界団体・日本自動車工業会(自工会)が掲げる「新7つの課題」の中にEVリセールバリューの安定化の議論を組み込むことが考えられる。

 新7つの課題の一つに、サーキュラーエコノミーの推進がある。EVでは、バッテリーのリユースやリセールが含まれるが、EVリセールバリューの商流についても自動車販売業界と議論を深めるべきではないだろうか。

 新型リーフが、クルマとして大きく進化した今、EV普及に向けた抜本的な業界変革が必要だと強く感じる。