「2年間ゼロ」後、税率元に戻せるか
財源確保、レジの調整など課題山積
消費税の減税については、もともと首相は慎重姿勢だったが、総選挙の公示真近になって、「飲食料品の消費税を2年間ゼロにすることの実現に向け、国民会議で議論・財源などを検討して加速する」と前のめりになった。
首相の発言を受けて自民党の公約にも「検討の加速」が盛り込まれたが、実施するためには、以下の諸点を定める必要がある。
第一に、減税期間である2年間が過ぎた後に、確実に元に戻すことを制度的に担保する必要がある。
第二に、財源を確保する必要がある。自民党が示している財源は抽象的なので、これをより具体的なレベルで決める必要がある。
第三に、消費税率の変更に伴って予想される現場でのさまざまなトラブルに対処する必要がある。値札の付け替え、レジの調整などでかなりの準備が必要だ(それを行ったとしても、相当の混乱が起きることは避けられないだろう)。
しかも、短期間で2回(導入と終了)変更するため、負担は通常の税率改定の倍になる。
価格は一時的に下がってもまた上昇
誤りは「争点つぶし」の政治過程にも
こうしたことは消費税減税を実行するために最低限必要とされることだ。これらだけでも大変なことだが、問題はこれにとどまらない。
なぜなら、消費税率を引き下げるだけでは、恒久的な物価対策にはならないからだ。
したがって最重要の課題は、消費税減税を本当の物価対策につなげていくための政策を行うことだ。
これは消費税を減税するよりもずっと重要で、しかも極めて困難な課題だ。
消費税率を下げれば、一時的には飲食料品の税込み販売価格は下落するだろう(確実ではないが、かなりの効果を期待することはできるだろう)。しかし、時間が経てば、原材料価格や人件費が上昇する。消費税の減税は、こうしたことに対しては何の影響も及ぼしていないからだ。
これは通常であれば、売上価格に転嫁されることになる。したがって、飲食料品の税込み価格が再び上昇することになる。つまり消費税の減税は、物価対策としては一時的な効果しか期待できないものなのだ。
しかし、それにもかかわらず、今回の選挙では与党も野党の多くもともに、消費税減税を公約に掲げた。だから国民としては選択を行う余地がなかった。
なぜ誤った政策が大半の政党に共有されることになったのか?
それは、消費税は「見える税」であり、即効性を演出しやすいからだ。そして、野党のほとんどが消費税減税を公約としたので、自民党は「争点つぶし」に走らざるを得なかったというのが実情だろう。このように、誤りは理論ではなく、政治過程にあった。







