「ばけばけ」はスキマドラマだ!文学的な15分間に“絵本のような読後感”を覚えた〈ばけばけ第100回〉

すばらしい若者の嘘にヘブン感激

 第100回という節目っぽい回に、泥棒疑惑エピソード? と首をかしげたものの、ちょっといい話になっている。

 丈と正木、チャラさの欠片(かけら)もない、真面目な若者たちに好感度がバク上がりしそうだ。

 頭がいい人は考えることが違う。未来ある若者たちがこんなふうに他者を思いやり、そのための優秀な知恵を絞ってほしいものだと筆者は思う。

 その頃、司之介とフミ(池脇千鶴)はもめている。お互いを疑っているのだ。その様子にヘブン(トミー・バストウ)もトキも困っている。

 そのとき、正木が財布がなくなったと言い出す。

 なくなったのはちょうど司之介とフミがもめている間だから、ふたりの仕業ではない。ヘブンにもトキにも丈にもアリバイがある。となると――。

 皆で女中部屋(?)をのぞくとクマは居眠りしていた。つまりクマでもない。いや、でも、寝たふりしているということも考えられるが、ここは松野家全員の濡れ衣(ぬれぎぬ)を晴らしたいという善意の話なので、これでいいのだ。

 懐中時計が見つかったと丈が言い、財布もあったと、正木がポケットから財布を出す。

 ほっこり。

 みんなニコニコ。

 それを俯瞰(ふかん)で眺めるヘブン。今度は、ヘブンが探偵役にスイッチする。

「わたし嘘嫌い
でもふたり、いい嘘
すばらしい、すばらしい」

 正木と丈の嘘を見抜いたヘブン。

 がぜん、灰色の脳細胞が活気づき、机に向かって猛然と書き物をはじめる。

「おもしろい
丈の嘘 正木の嘘
熊本何もない それも嘘
日本人の心あります どこでも心あります」

 第100回という節目っぽい回に、ちゃんとまとめっぽいエピソードが設計されていた。

「建前」という名の日本人特有の本心を語らず、物事を曖昧にする文化をさらに深く知る機会を得たヘブン。

 他者を思いやるために本心を言わない「日本人の心」は松江に限ったことでなく、熊本にもある。

 その場所特有のすてきな風景や物産もいいけれど、どこにいても、人(の心)が大切なのだということを、第100回で示してくれた、そんな気がした。