それほど「出会った責任」は重い。そんなことを考えながら満開の桜の中をドライブした。
その日は、少し奮発して2人でごちそうを食べた。ゆき子!がんばれ!
死ぬ直前まで借金癖が
抜けなかった千代さんの場合
千代さん(仮名)は、高速道路の高架下に長年暮らしておられた。何度も自立を勧めたが腰が上がらない。そんな千代さんだが入院をきっかけに「自立支援住宅」への入居を決断された。
入居の時、市内に娘さんがいるとわかり連絡したが「関わりたくない」とのこと。これまでいろいろあったのだと思う。
入居当初は順調だった。が、ある日のこと、事務所に千代さんが現れた。
「奥田さん、友達が亡くなったので香典代5000円貸してくれませんか」とのことだった。昔の友人と再会できる良い機会だと思いお貸した。
1週間後、「いとこが死んだんよ。5000円貸して」と千代さん。
「よく人が死ぬなあ」と思いつつ、親戚だから娘さんとも再会できるかもとお貸しした。
そして、さらに1週間後。今度は血相を変えてやってきた。「大変です!昨日の晩、娘の婿が死んだんよ。義理の息子やけ、1万円貸して」。おいおい、なんぼなんでも死に過ぎやろ……。
「千代さん、ちょっとここ座って」と電話機の前に座ってもらった。スピーカーをオンにして娘さんに電話。
「奥田です」
「ああ、いつも母がご迷惑をおかけしています」
「はい、今日もちゃんとかけられています。それより、そちら大変なことだそうで」
「えっ、何かありましたか」
「ご主人が急逝されたとお母さんから伺いました」
「えっ、うちの旦那死んだんですか」
「はい、お母さんが今、香典代を借りにこられてますが」
「ええ、弁当持って会社に行きましたけど」
はいはい了解です、と電話を切った。
「千代さん、聞いてたやろ」と言うと彼女は顔を真っ赤にしながらこう言った。「うちの娘はなんであんなうそつくんかね」。いやいや、うそついてんのはあなたですやん。
原因はギャンブルだった。そんな千代さんは、その後ガンになりあっさり逝ってしまわれた。







