関わると大変な人だった
でも、仲間からは愛されていた
家族は引き取りを拒否。抱樸主催の葬儀には野宿仲間をはじめ、多くの人が駆け付けた。
ひつぎに花を手向けるおじさんたちが何かを千代さんに語りかけている。聞くと「こいつにはだまされたな」「金返ってこんかった」と言っておられた。悲しいやらおかしいやら。
『わたしがいる あなたがいる なんとかなる「希望のまち」のつくりかた』(奥田知志、西日本新聞社)
しかし出棺の時、見送りの列から声がかかる。「おい千代、ありがとな」「また会おうな」。
何がありがたいのか。また会えば、またやられそう。千代さんは大変な人だったが、愛された人だった。
「大変は不幸」と多くの人が考えている。だから「大変」を避ける。「大変な人」とは関わらない。しかし「大変だけど豊か」ということもある。僕らは「大変」を避けることで「豊かさ」を無駄にしているのかもしれない。
僕は、この人たちは本当にすてきだと思う。共に生きるのは「大変だけど面白い」。その日、「千代さん、またお会いしましょうね」と僕も笑顔で彼女を見送った。







