正解を選ぶんじゃない、決めた道を正解にしていくんだ

いれぶん:さわさんの場合は、心が疲れちゃった人とかをお仕事で対応されてると思いますし、読者の方とかでもそういった方がいらっしゃるのかなと思うんですけど。どうですかね、この自信というテーマについて。さわさんなりの自信が持てない人に対するアドバイス的なものがあれば、ちょっと聞きたいなと思ったんですけど。

さわ:私の場合はですね、親の期待に応え続けた人生だったなっていうことに30代ぐらいの時に気づいて。で自分が主体的にどう生きたいのかって。医者になるっていうのも、どこかで親の期待に沿った自分も、いたなっていうのに医学部の時に気づいて。じゃあ自分は何がしたい生き物なんだろうみたいなことが、正直、わかんなくて模索したというか。結構、こじらせてた時もありまして。でも結局、結婚にしても、子育てにしても、なんか幸せそうな人生をどこか目指してたのかもしれない。周りから見たら医学部行って医師となって、それなりに充実した人生を歩めていると思われてたかもしれないんですけど。自分の中ではずっとぽっかりと虚無感みたいなものも同時にあって。そんな時に、本を書かないかっていう話だとか、発信を始めたりだとか。それがやりたかったことかどうかも正直最初はよくわからなかったんですけど。目の前にたまたま出てきたチャンスに、自分がやりたいっていうことをちょっとずつやってきたら、すごく大きく人生が変わってきたっていう感覚で。この5年ぐらいですごく大きく私は変化したなって思うんですけど。

いれぶん:ああ、なるほど。やっぱり期待に応えたいとか、他人軸だったものが、受動的ではなく能動的に変わった。私はよく「自分で舵を取る」っていう言葉使うんですけど。要は自分の行きたいところに自分の意志で向かってるんだってなった時に、全然世界が明るく見えるみたいな、そういうことですかね。

さわ:そうですね。患者さんと向き合ったり、SNSなんかでいろいろ相談とかされても、すごくみんな自分の生きたい人生を生きるのが難しいんだなって。誰かに迷惑かけちゃうとか。母としてとか、父親としてとか、会社員としてとか、いろいろあるのかもしれないんですけど。「本当にあなたが望んでることなんですかね」みたいな感じの会話は、よく診察でもさせてもらいます。それに気づくタイミングって人それぞれだと思うので。ま、気づけない、なんだろうな。

いれぶん:はい。

さわ:この本の中ですごく好きな言葉としては、「正解を選ぶんじゃない、決めた道を正解にしていくんだ」。本当にこの3年ぐらい、私がその言葉を常に自分の胸に置いてやってきたことだったので、いれぶんさんも同じこと書いてるって思って嬉しかったです。

いれぶん:本当にそうなんですよね。人ってやっぱり考えて、動くっていうことしないと、自分の行きたいところにはいけないと思うし。より良い人生とか幸せになりたいって思った時に、考えることと動くことって絶対につきまとうじゃないですか。考えない、動かないっていう状態で自分を良くしていくことってなかなか難しいと思うんですよね。で、世の中に自己啓発的な本ってたくさんあるんですけど。ほとんどの本は、覚悟決めなさいとか、動きなさいとか、っていうことばかり書いてあるんですけど。私はけっこう弱い人間だったんで。決めなさい動きなさいって言われても、とはいえ動けないんだよ、みたいな。子どもの頃はあんまりハードル高いところ狙ってなかったんで、そんなに困らなかったんですけど。自分が社会に出た途端にもうめちゃくちゃ劣等感を味わって。で心が弱ってる時ってやっぱり考えられないし動けないし。何にも余裕がない、みたいな。そんな状態の時って何もできないじゃないですか。そういう状態になってる人が、少しでも、ちょっと一歩前に足を踏み出せるんじゃないかって思えるような、ちょっと背中を押す言葉をこの本に書いてみたんです。

さわ:いれぶんさんにしかないところって、最初の一歩を踏み出すのに、優しく背中を押してくれるっていうか。「あ、こんな小さな一歩でいいんだ」みたいな。しかも、自分の強みとか、好きなことを仕事にするとかいう話もちらほら見るけど、そうじゃなくてもいいのかみたいな。そこを示してくれてるのが、すごいいい本だなって思いました。

いれぶん:ありがとうございます。

さわ:なんか、本当にタイトル通りですよね。「自分に自信が持てません」っていう時に、この本を手に取ってほしいなとすごく思います。

※本稿は、『自分に自信が持てません 生きづらさがほどける50の言葉』いれぶん(ダイヤモンド社)刊行を記念して、精神科医さわさんのyoutubeといれぶんさんのXスペースで同時配信された対談から一部を転載したものです。

精神科医さわ
【精神科医もびっくり】「どうせ自分なんて…」が口癖の人に共通して欠けているものとは? 精神科医さわ×いれぶん対談(1)

児童精神科医、精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師
1984年三重県生まれ。開業医の家庭に生まれ、薬剤師の母親の英才教育のもと、医学部を目指す。偏差値のピークは小学4年生。中高時代は南山中学校高校女子部で落ちこぼれ、1浪の末に医学部へ。藤田医科大学医学部を卒業後、精神科の勤務医として、アルコール依存症をはじめ多くの患者と向き合う。母としては、発達特性のある子どもの育児に苦労しながらも、シングルマザーとして2人の娘を育てている。長女が不登校となり、発達障害と診断されたことで「自分と同じような子どもの発達特性や不登校に悩む親御さんの支えになりたい」と勤務していた精神病院を辞め、名古屋市に「塩釜口こころクリニック」を開業。老若男女、さまざまな年代の患者さんが訪れる。クリニックを受診した患者さんのお母さんたちからは、「悩みが解決し、まず自分が安心すればいいんだと思いはじめてから、おだやかにすごせるようになった」「同じ母親である先生の言葉がとても心強く、日々のSNS発信にも救われている」と言われている。「先生に会うと安心する」「生きる勇気をもらえた」と診察室で涙を流す患者さんも。開業直後から予約が殺到し、現在も毎月約400人の親子の診察を行っている。これまで延べ3万人以上の診察に携わっている。2023年11月医療法人霜月之会理事長となる。
いれぶん
【精神科医もびっくり】「どうせ自分なんて…」が口癖の人に共通して欠けているものとは? 精神科医さわ×いれぶん対談(1)

1977年、岐阜県生まれ。会社員生活の23年間、店舗ビジネスのコンサルタントとして活動。300人を超える経営者と生々しい成功体験、失敗を多数経験する。自らは投資を失敗し、勤め先・家庭での信用すべてを失う。どん底を経験したことをきっかけに43歳で一念発起、発信活動をスタート。「何歳からでも遅くない」をテーマに、経験に基づくマインドセットやベーシックスキルなど人生をアップデートするヒントを発信し続けている。SNS総フォロワーは15万人超。2021年からは「全員で最高の生き方を手に入れる」オンラインコミュニティいれぶん塾を運営。塾生は卒業生を含め3000人超となる。