2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

社会人はコミュ力が高くないとダメ?

 社会人に必須の能力といえば、コミュニケーション力を挙げる人は少なくない。

 どちらかというと「会社員向きでない人」が多いフリーランスの世界でさえ、「結局、コミュニケーション力だよな」と言われることもある。

 商社の会社員だった頃、周りはコミュ力全開タイプが多かった。社交的で明るく、冗談を言っては周りを笑わせ、楽しい空気を作ってしまう。

 その中で私は圧倒的にコミュ力が低い自覚があった。

 同期に仕事の電話をかけたとき、「おつかれさまでぇぇぇーす!」というハイテンションな声に私は思わず黙ってしまい、気まずい沈黙が流れたことをよく覚えている。「なぜこうも違うのだろうか……」と落ち込んだ。

 しかし、ありがたいことに上司は私のコミュ力は問題にしていなかった。真面目な仕事ぶりを評価してくれていたから、居心地は悪くなかった。
 良い上司で助かった。

 しかし世の中「コミュ力高い人=仕事ができる人」という空気がありすぎる……ような気がしないだろうか?

世の中、言語優位な人に寄りすぎている

 組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏は、『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で「世の中、言語優位な人に寄りすぎているが、言語優位でない人が劣っているわけではない」といった内容を伝えてくれている。

 本書の「ソーシャルスタイルの4類型」で見るとわかりやすい。

 人にはそれぞれコミュニケーションのパターンがあり、「自己開示が控えめか、大胆に行うか」「他者への関心がさほどないか、強いか」という軸によって4つに分けることができる。

 いわゆるコミュ力が高い人は、自己開示をあけっぴろげにするタイプだ。「コミュニケーションが滑らかな、言語優位な人たち」である。職場では「仕事ができる」と見なされ、リーダー職に就いていることが少なくないという。

組織の違和感『組織の違和感』(ダイヤモンド社)p.121より
右側の人たちは、ただ思ったことを口に出すまでのスピードが速い人たちというだけです。(中略)
一方、シャイな左側の言動パターンの人たちは、思ったことを口に出すまでに時間がかかります。何か思いついてもいったん躊躇して、それは本当に正しいのか、今話すべきことなのか、違った見方はできないか、自分の中で揉んでいるわけです。
能力の優劣ではなく、機能・持ち味の違いにすぎません。そのことを部下を持つ人は特に理解するべきでしょう。

――『組織の違和感』p.221より

「結局、コミュニケーション力だ」「コミュ力が低い人はダメだ」ではなく、優劣のない「持ち味」なのだと認識して、チームとして機能させていくことが大事なのである。

 勅使川原氏はさらにこう述べている。

自分は「コミュ力」があると自負している人こそ、相手に合わせたコミュニケーション手段を選ぶようにしてください。それによって助かる人がたくさんいます。ぜひ、その力を職場の環境調整に役立てていただきたいのです。

――『組織の違和感』p.222より

 それこそが本当に素晴らしいコミュ力かもしれない。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。