その結果、収入に対する食費の負担は当時の0.45倍まで減っている。
同書より転載 拡大画像表示
シイタケとコーヒーの比較で学ぶ
賃金上昇が物価を上回る条件
特に驚くべきは、シイタケの値段だ。当時の0.08倍にまで下がったのだ。今スーパーで1パック400円のシイタケは、100年前の感覚なら5000円もする高級品だ。
なぜ、ここまで安くなったのだろう?
味が落ちたわけでも、シイタケ農家の収入が減ったわけでもない。シイタケの栽培技術が劇的に進歩したからだ。
100人がかりで山に入って収穫していたシイタケを、たった8人で生産できるようになれば、1人当たりの給料が変わらなくても価格は0.08倍に下がる計算になる。
シイタケだけではない。白米やしょうゆも、昔のままなら今の値段では買えない。給料が5000倍になれば価格も同じだけ上がるはずだ。
しかし、実際には技術革新や機械化によって、少人数でも効率的に作れるようになった。人手が減れば、値段を下げることができる。
そのおかげで、かつて5000円だったシイタケステーキが、今やビーフステーキより安く食べられる。
ただし、すべてがそこまで効率化されたわけではない。たとえば食堂の天丼の値段は100年前の0.67倍で、それほど安くなっていない。喫茶店のコーヒーは100年前とほぼ同じだ。
食材は安くなっても、食堂や喫茶店で調理する人の手間は昔とあまり変わっていないからだ。人手がかかる仕事は、値段を下げにくい。
これらの比較でわかるように、少ない人数で効率よく生産できるようになったときに、給料に対して物価は下がり、暮らしに余裕が生まれる。







