ふと、ざわざわと落ち着かない気持ちや、理由のはっきりしないモヤモヤに振り回されることはないだろうか。一方で、気分がいつも安定している人たちもいる。彼らはどんな習慣を持っているのだろう。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏が書き、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

「メンタルがいつも安定している人」が自然にしている1つの習慣Photo: Adobe Stock

何をしても前向きになれないとき

 些細なことで気持ちが沈んだり、理由ははっきりしないのに不安が重くのしかかったりすることはないだろうか。何をしても前向きになれず、思考だけが堂々巡りを続けてしまう。

 こんな気持ちになるのは決してめずらしいことではない。多くの人が経験する、日常的なメンタルの波である。

 そんなとき、私たちはつい「心の問題」として頭の中で解決しようとする。

 しかし医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏は、著書『筋肉が全て』の中で、メンタルの安定と筋肉の関係に言及している。筋肉は単なる運動器官ではなく、収縮することで「マイオカイン」と呼ばれる生理活性物質を分泌することが知られている。これらは血流を通じて全身に作用し、脳機能にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。

 実際、定期的に身体を動かす習慣を持つ人ほど、メンタルの安定度が高い傾向にあることが報告されている。ライオン氏は下記のように言う。

 運動することで放出される「気分をよくするホルモン」には、脳を活性化させ、身体の意識を向上させる効果があると指摘されている。――『筋肉が全て』より

身体を動かして心を整える

 エンドルフィンやセロトニンなど、気分に関わる物質の分泌は、運動によって促されることが報告されている。適度な運動習慣が抑うつ症状の軽減と関連することは多くの研究で示されており、身体を動かすことは心の状態を整える有効な手段の一つと考えられている。

 落ち込んでいるとき、無理にポジティブに考えようとすると、かえって疲れてしまうことがある。そんなときは、思考を直接変えようとするのではなく、身体からアプローチする方法もある。

 運動によって身体を疲労レベルまで追い込めば、それまで自分を振りまわしていた思考はどこかに行ってしまい、自分が思考をコントロールし始めていることに気づくだろう。心が沈んだときは身体を動かそう――同書より

 気分が沈んだときは、まず身体を動かしてみる。それはいわゆる「精神論」ではない。心と筋肉は切り離された存在ではなく、相互に影響し合っているのだ。

(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)
 
ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。