人がAIを受け入れるとき
新しい技術には、多くの場合反発がある。「AIによって人が減らされ、ますます仕事が大変になるというイメージを抱く社員も少なからずいます」と若林さんは明かす。しかし、実際にAIクレーンの働きを目の当たりにすると、表情は一変するという。
興味深いエピソードがある。開発チームがある施設で1カ月ほど試験運用を行った際、現場から「すごく使えるようになった」「なんか変わってきたみたい」という声が上がった。しかし町田さんによれば、「そこまでプログラムは改造していない」という。
技術は大前提として、それ以上に、現場と開発者が対話を重ね、受け入れる心の準備ができたことが大きかったのかもしれない。人とAIの関係は、人間同士と同じく複雑だ。
AIは、人を幸せにするためにある
若林さんや町田さんとは別の角度から、人とAIの関係を見ている人がいる。荏原製作所でAIエージェントを活用し、技術の形式知化に取り組む神子島隆仁さんだ。
「AIを突き詰めると、従業員ゼロが究極のゴールになる。でも、そういう会社にはしたくない。ハンディキャップを技術で埋める。そういうところにAIを使いたいです」(神子島さん)
荏原製作所 CPS推進部 部長 神子島隆仁さん。人材育成において、統合人事システム「COMPANY」を活用したキャリアマネジメントにも取り組んでいる Photo by M.S.
「AIでみんなが幸せになる」という青臭い目標も、KPIにしていきたいと神子島さんは語る。みんなが幸せになる――その言葉に呼応して、若林さんが続けた。
「私たちの仕事は、環境を守ってお金をいただく。ちょっと珍しいですよね。でも、良くないですか?」
私たち住民にもできることはある。生ごみの水を切る。きちんと分別する。それだけで処理費が下がり、自治体の負担が減り、税金の無駄遣いも減る。火災のリスクも下がる。
物を買うとき、ごみを出すとき、その先を想像してみたらそれだけで、みんなが少し幸せになれるかもしれないと思った。







